Blooming Days,Aug’30 | 倉嶋桃子|TOKYO854

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,Aug’30

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今から14年前の今日8/30は、世界的なビール評論家であり、ベルギービールを広く世界に紹介したことで知られるマイケル・ジャクソン氏が亡くなった日です。

マイケル・ジャクソンと言っても、あのミュージシャンのマイケル・ジャクソンではありません。
本人も、唯一無二のスーパースターと同姓同名であることに対し「僕も本物マイケル・ジャクソン」「歌って踊らない方」などと自己紹介していたようです。

歌手のマイケルが「ポップの帝王(King of Pop)」と呼ばれたのに対し、「ホップの帝王(King of Hop)」と呼ばれることもあります。

彼は、ビールだけでなく、ウィスキーにも造詣が深く、数々の名著を残したジャーナリストで、特にベルギーのビールのすばらしさを世界中に広めたことで、ベルギー政府は彼の功績を評し、「ベルギービールの騎士」と認証され、1994年にはフィリップ皇太子よりメルクリウス勲章まで授かっています。

現在、多くのクラフトビールがベルギービールと同じ製法で造られていますが、彼がいなければこれほどまでにクラフトビールが発展することもなかったと言われており、アメリカ最初のクラフトビール醸造所・アンカー社では、2002年にマイケルの60歳の誕生日を記念したビールを作ったほどです。

今日は、そんな「ベルギービール」についてお送り致します。

さて、本日の放送内容です。

「Food」in bloom-その1-

ベルギービールとは、ベルギーで生産されるビールの総称のこと。

日本ではラガービール以外のバラエティに富んだビールを指すことが多く、これは、色、味、香りからアルコール度数に至るまで多様でバラエティに富んでおり、同じ味わいのビールはないと言われています。


ベルギービールについて-その1-

私達が普段飲んでいる苦味の効いたピルスナータイプのビールから、フルーツやハーブを使ったワインのようなビールまで、苦みと炭酸だけではない、いろいろな特徴がベルギービールにはあります。

銘柄ごとにロゴや独自の形をした専用グラスが多い事も特徴の一つで、グラスの違いで味わいに歴然の差がでるとまで言われています。

また、ワインと同様、ビールには熟成によって風味が変わるものもあり、熟成はベルギービールの特徴のひとつで、瓶詰めの際に少量の酵母と糖を入れて瓶内発酵を促す、ボトルコンディションを行うものも多くあります。

1997年のデータによると、ベルギー国内には125の醸造所があり、銘柄数は1053種類、そのうちオリジナル・ビールは780種類におよびます。

ベルギーでは中世に修道院の修道士によって作られはじめたのが始まりと言われ、その後ジャン1世がビール作りを推奨したことも手伝い発展しました。

料理においてはフランス料理の影響を色濃く受けるベルギーですが、飲み物はワインではなくビール。

この背景には様々な要因がありますが、国の緯度が高く、ワインを造るのに向く良質な葡萄がとれず、ワインを飲む文化が育まれなかったこと、ドイツやチェコほどの良質なホップがとれなかったこともあり、旧来のハーブやスパイス、フルーツを使用した醸造法が近年まで受け継がれていたこと等があげられます。

ワインを思うように作ることができなかった代わりに、料理を引き立てるためのさまざまな味と香りを持ったバリエーション豊かなビールが発達したようです。

ベルギービールは、下面発酵(かめんはっこう)で造られる「ラガー」、上面発酵(じょうめんはっこう)で造られる「エール」、自然発酵で造られる「ランビック」、そして特殊な発酵方法で造られる複合発酵に大別されますが、分類となると様々な種類があるベルギービールの場合、不可能に近く、現在は色や味による分類と製造手法による分類をミックスしたものを用いる場合が多いようです。

一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会 代表理事の三輪 一記(みわ かずのり)氏と石黒 謙吾(いしぐろ けんご)氏の著書『ベルギービール大全(たいぜん)』では、味、製法、地域性、歴史的背景などを考慮に入れて、もっともわかりやすいと思われる10タイプに分類しています。

1つ目が、野生酵母で自然発酵させる「ランビック・ビール」、
2つ目が、小麦特有のフルーティーな酸味が特徴の「ホワイトビール」、
3つ目が、主に東フランドル地方で醸造される茶褐色の「ブラウン・ビール」、
4つ目が、巨大なオーク樽に入れて熟成させる「レッド・ビール」、
5つ目が、農家が冬の間に仕込んで、夏に飲むために貯蔵しておいた「セゾン・ビール」、
6つ目が、世界11ヵ所の修道院にだけ存在するベルギービールの最高峰「トラピスト・ビール」、
7つ目が、トラピスト・ビールに似たタイプで修道院にまつわるビール「アビイ・ビール」、
8つ目が、アルコール度数が高く、美しい黄金色(こがねいろ)でフルーティーな味わいの「ゴールデン・エール」、
9つ目が、日本で飲まれる一般的なビールと同じタイプの「ピルスナー・ビール」、
そして最後は、それぞれ造られる地域の風土と深く関わった、個性的な「スペシャル・ビール」。

発酵方法や使用酵母はもちろん、醸造プロセス、色合い、品質管理、知識や伝統など、世界で一番多種多様なビールと言われています。
銘柄それぞれの歴史や文化を知ることで、味わうビールが格別なものになることもベルギービールの大きな魅力と言えそうです。

「Food」in bloom-その2-

1,000を越える種類のあるベルギービール。

醸造方法だけでなく、原料の違いからアルコール度数まで、醸造所や銘柄によって千差万別です。


ベルギービールについて-その2-

麦芽・ホップ・水・酵母と指定された必要最低限の原料しか使えないよう法律で定められているお隣ドイツと違い、ベルギーには、法律による厳しい制限がないので、自由なビール造りが行われています。

放送予告でもお話しましたが、最後まで飲み切ることができなかったドイツで飲んだ、ぬるくて納豆のような香りのするドロっとしたビール。

飲み慣れた方は問題ないでしょうが、初めて飲む人にとってみたら、癖が強すぎてかなりリスキーです。

ベルギービールの選び方には、醸造方法で選ぶ方法と種類で選ぶ方法がありますが、はじめて飲むのなら、日本で主流となっているラガータイプのビールから始めるのがいいかもしれません。

ラガータイプというのは、10℃前後の低温で長時間発酵させる製法「下面発酵」で造られたビールのこと。

穏やかな香りと雑味のないすっきりとした味わいが特徴です。

これとは逆に、芳醇でフルーティーな香りと旨味の強い濃厚な味わいが特徴なのが、上面発酵で製造されたエールタイプのビール。

「上面発酵」とは、古くから伝わる伝統的な製法で、常温(20℃前後)で時間をかけずに発酵させるため、ビールの持つ本来の香りと旨味が、強く感じられます。

また、エールタイプのビールは、ラガービールとは違ったタイプの苦味なので、日本で飲むビールが苦手な方でも、エールタイプのビールなら飲めるという方も多いようです。

代表的な上面発酵のベルギービールには、トラピストやホワイトエール、レッドエールなどがあります。

他にも、培養管理されていない自然の酵母を使用して醸造された、ベルギー発祥の独自製法「自然発酵」のビールというのもあります。

大気中を飛び交う自然の酵母を発酵に利用するため、最低でも1〜3年の醸造期間が必要で、7日程度の発酵期間のラガーや、4日程度の発酵期間のエールに比べると、大変に時間をかけて造られます。

カラフルな色をしたワインのようなビールはこのタイプで、柑橘系のような独特な香りと強烈な酸味が楽しめます。

主な種類としては、ランビックが有名ですが、このランビックの中にチェリーやカシス、ラズベリーなどベリー系の果実を漬け込んだフルーツビールがあります。

一曲お届けした後、ベルギービールの種類についてお話し続けます。

「Food」in bloom-その3-

一口にベルギービールと言っても、ピルス、トラピストビール、フランダースのレッドビール、グーズなどたくさんの種類があり、その種類の多さが ベルギービールの魅力でもあります。

全部はご紹介できませんが、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。


ベルギービールについて-その3-

まずはじめにご紹介するのは、ピルスナー。ピルスとも呼ばれています。

現在、私達が口にしている日本のビールに近いものです。

19世紀中頃に中欧チェコのピルゼン地方で生まれた淡い色をしたビールで、硬水が一般的なヨーロッパでは希少な「軟水」で醸造されています。

金色(きんいろ)でアルコール度数は軽め。ホップの風味が軽いものから強いものまであり、ステラ・アルトワ、ジュピラー、プリムス、クリスタルなどがよく知られています。

日本の場合、ビールは冷蔵庫でキンキンに冷やして飲むのが一般的ですが、ピルスナーの場合、3〜7℃の温度で飲むのが最も美味しいとされています。

次にご紹介するのは、ホワイトエール。

コリアンダーとオレンジピールで風味付けした小麦ビールで、ろ過していないので乳濁色をしています。

ピルスナーとはひと味違ったビールの芳醇な風味を堪能したい方におすすめです。

小麦特有の豊かな香りと酵母によるの濃厚な旨味を楽しめるのが特徴で、ヒューガルデンやセント・ベルナルデュス・ホワイトなどがよく知られています。

次にご紹介するのが、修道院で醸造されたエールビール、「トラピストビール」。

トラピスト派の修道院で醸造されたモノだけが、その証であるATP(Authentic Trappist Product)のロゴを使うことできます。

「ダブル」と呼ばれる やや甘みのあるダークビールと、「トリプル」と呼ばれる切れの良い、アルコール度が高めのブロンドビールがよく知られています。

トラピストビールは酸味と苦味を凝縮したような濃厚な味わいが魅力ですが、アルコール濃度も9〜11%と高いので、飲み過ぎには注意が必要です。

そして、次にご紹介するのは、甘酸っぱさがクセになるフルーツビール。

その名の通り、風味を強めるために醸造中に果汁やフルーツシロップを添加したビールで、チェリーやカシス、ラズベリー、ストロベリーなどのベリー系の果実が主に使用されています。

フルーツの香りと甘みによる芳醇な味わいが特徴で、ベルビュークリーク、シャポーレモン、モンゴゾマンゴー、セントルイス プレミアムピーチなどがよく知られています。

最後にご紹介するのは、自然の味が楽しめるランビック。

自然発酵で造られる赤みがかった茶色いビールで、首都ブリュッセルの限られた地域でだけ製造されるワイルドビールの古酒です。

ややワインに似た味わいがあり、長い熟成時間によって醸造庫の空気を凝縮したような味の深みを感じられます。

ランビックにはいくつか種類があり、ブレンドされていない2~3年熟成したものを「ランビック」、または「ストレート・ランビック」と呼ぶのに対し、2~3年熟成した古いランビックと、熟成が1年ほどの若いランビックをブレンドしたものを「グーズ」と呼び、日本で主に流通しているもののほとんどはこれになります。

他にもデュベル、オルヴァル、シメイなど世界的に有名なビールがたくさんあります。

最近は比較的入手しやすくなったので、気になる方は、是非おためしになってください。

「Food」in bloom-その4-

2016年「ベルギービール文化」がユネスコの世界 無形文化遺産に登録されました。

踊りや音楽、食文化、祭り、行事などの37の様々な無形行事がリストに並び、その中でも、伝統文化が世代間で継承され、関わる人々にアイデンティティーの感覚をもたらしていることが登録対象とされています。


ベルギービールについて-その4-

ベルギーでは、地域に根付いた小規模な醸造所が数多く存在し、そこで造られるビールのほとんどは地元の農産物を使用したローカルなクラフトビールで、ブリュッセル郊外でのみ造られるランビック・ビールや、修道院だけで造られるトラピスト・ビールなどの伝統的なベルギービールは、ベルギービールの地域性と特色を表す文化のひとつとして評価されました。

ビール醸造に欠かせない麦やホップの収穫を祝う祭り、ビールそのものが祭事に用いられる重要な役割や、また古くから市民たちの生活に欠かせない日常的な飲料としても深く根付いていることなどから、3つの公用語を持つベルギー国民のアイデンティティー形成にも大きくかかわっているとし、登録が認められました。

20世紀初めには3000を超える醸造所が稼働しており、カフェの数は20万軒を超えていたベルギー。

ベルギー人にとって、ビールはライフスタイルの一部で、飲み物だけでなく、広く食べ物にも使われ、レストランのジャンルにビール料理というカテゴリーがあるほど一般的です。
ベルギーの伝統料理、カルボナードフラマンドは、グーズビールで牛肉を煮込んだもの。
また、ビール入りのチョコレートやアイスクリームなどのデザートにもビールを使用したものがあるようです。

ユネスコは、ベルギーでは、ビールはただアルコールドリンクとして飲まれるだけではなく、料理や乳製品を作る際にも使用され、食文化にも大きな影響を与えているとしています。

ベルギービールではなく、「ベルギービール文化」が世界文化遺産になったのは、ベルギー人にとって、ベルギービールはただのビールではなく、ベルギー人の文化そのものだったからのようです。

参考資料

マイケル・ジャクソン (ライター) – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/res4

ベルギービールの分類について | 日本ビアジャーナリスト協会
https://www.jbja.jp/archives/153

ベルギービール – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/i4qv

ベルギービールのおすすめ15選。飲んでおくべき注目の銘柄をご紹介
https://sakidori.co/article/333295

世界遺産になったベルギービール「文化」とは? | SIPMAG by Belgian Beer Weekend
https://blooming-days.njs.xyz/ji78

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

見るラジオ

今回は、ベルギーの首都ブリュッセルの街中をお散歩しながらラジオを聴く、そんな気分になれるような動画を作ってみました。

今回使用している動画は、下記のものを使用させていただいています。

動画について

Walking in BRUSSELS / Belgium 🇧🇪- 4K 60fps (UHD) – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=DmmEKbLOzTg

動画内で使用している楽曲は、次世代を担うミュージシャンたちのものです。気になる曲があったらリンク先サイトを覗いてみて下さい。

動画内音楽について

What If I Told Yout by Cayson Renshaw
https://artlist.io/song/63847/what-if-i-told-you

Sinking by Jane & The Boy
https://artlist.io/artist/1176/jane-&-the-boy

Piggyback – No Lead Vocals by Dan Pundak
https://artlist.io/song/66481/piggyback

Call On Me by Frank Bentley
https://artlist.io/song/67792/call-on-me

Try so Hard by Try so Hard
https://artlist.io/song/59134/try-so-hard

Super Music Wide