Blooming Days,Aug’23 | 倉嶋桃子|TOKYO854

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,Aug’23

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みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

今日8/23は、暦の上では「処暑(しょしょ)」、「陽気 とどまりて、初めて退き(しりぞき)やまむとすれば也」と『暦便覧(こよみべんらん)』にもあるとおり、「暑さが峠を越えて和らぐ」という意味です。
まだ昼間は暑い日が続きますが、朝夕は涼しい風が吹き渡わたり、気持ちのよい時期です。
山間部では早朝に白い露が降り始め、秋の気配を感じますが、台風のシーズンでもあり、また、夏バテや食中毒にかかりやすい時期でもありますので、まだまだ注意が必要です。

さて、京都など近畿地方、北陸、信州では、町内のお地蔵さんにお供物をしてまつる、地蔵盆が行われる日でもあります。
関東や東海地方、東北地方では、あまり馴染みのないこの行事ですが、江戸時代のはじめに京都の各町内で盛んに行われた「地蔵祭」が起源と言われており、明治初期の廃仏毀釈の影響で一旦は終息しましたが、その後「地蔵盆」として復活し、現在も、お地蔵さんを囲んで町内や人々の安全、無病息災などをお祈りする大事な伝統行事となっています。

地蔵盆では、子どもの守り神であるお地蔵さんを祠から出して、お化粧(彩色)をしたり、新しい前掛けを着せてから、祭壇に祀り、集まった子どもたちと共に読経や御詠歌(ごえいか)、数珠くり(じゅずくり)と呼ばれる数珠回し(じゅずまわし)などが行われ、
子どもたちには、供養の菓子や手料理などが振る舞われる場合が多いようです。

京都では、地蔵菩薩の縁日(8月24日)の前日である8月23日を中心に、その前後の土日に行うところが増えているようですが、最近では少子化によって1日に短縮して開催したりするところもあるようです。
地蔵盆の行われる地域では、夏休み最大にして最後のイベントとして、楽しみにしている子どもたちも多いようです。

今日は、そんな「お地蔵さん」をテーマにお送りいたします。

さて、本日の放送内容です。

「Interest」in bloom-その1-

寺院や墓地、または道路の脇などで、よく見かけるお地蔵さん。
一般的に、親しみを込めて「お地蔵さん」、「お地蔵様」と呼ばれていますが、正式には、「地蔵菩薩」といい、お釈迦様が亡くなったあと、弥勒菩薩が如来になるまでの56億7千万年の間、現世に仏が不在となってしまうため、その間、天道(てんどう)、人間道(にんげんどう)、修羅道(しゅらどう)、畜生道(ちくしょうどう)、餓鬼道(がきどう)、地獄道(じごくどう)の六道で苦しむ、一切の生きとし生けるものを救ってほしい。とお釈迦様本人から委ねられたとされています。


意外と知らないお地蔵さんのこと-その1-

地蔵菩薩の起源は、インドのバラモン教の神話に登場する大地の女神プリティヴィーで、大地を守護し、財を蓄え、病を治すといった利益信仰があり、これが仏教にも取り入れられ、地蔵菩薩が誕生したと言われています。

多くのお地蔵さんは、剃髪した僧侶の姿で、袈裟を身にまとい、左手に如意宝珠(にょいほうじゅ)、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ形が多く、赤いよだれかけや帽子をかぶっているものもあります。

大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を、その無限の大慈悲の心で包み込み、救う所から名付けられ、日本における民間信仰では、道祖神(どうそじん)としての性格を持つとともに、「子供の守り神」として信じられており、子供が喜ぶお菓子などが供えられています。

かつて、中国においては地蔵菩薩が閻魔王(えんまおう)と同一の存在であるという信仰が広まり、地獄からの救済を願って冥界の教主として信仰され、横浜市中区の外人墓地にも、死者の永眠を祀る地藏王廟(じぞうおうびょう)(中華義荘:ちゅうかぎそう)が、華僑によって建立されています。

日本においても、浄土信仰が普及した平安時代以降、極楽浄土に往生の叶わない衆生(しゅじょう)は、必ず地獄へ堕ちるものという信仰が強まり、地獄における責め苦からの救済をお地蔵さんに求めるようになり、皇族や貴族の間で、地蔵信仰が始まったと言われています。

当時は、阿弥陀如来や観音菩薩の信仰と合わせて地蔵菩薩が信仰され、地蔵菩薩像や地蔵堂などが作られました。

平安時代末期頃から、この地蔵信仰は庶民にも広がり、今昔物語などにはお地蔵さんにまつわるお話が32話収められています。

主な内容は、お地蔵さんが、現世で人々の危機や命を救ってくれるお話や、現世で願いを叶えてくれるお話、お地蔵さんに出会った人が改心するお話や往生するお話、お地蔵さんが死んだ人を蘇生させるお話や地獄に行った人を助けてくれるお話など。

そして、鎌倉時代になると「末法思想(まっぽうしそう)」が広がり、地蔵菩薩が地獄では閻魔大王になって人々を救うというお話から、さらに地蔵信仰が広がっていきました。
 
また、地蔵菩薩は、親より先に亡くなった幼い子供の霊を救い、旅を続けているとされ、賽の河原(さいのかわら)で、獄卒(ごくそつ)に責められる子供を、地蔵菩薩が守る姿は、「十にもならぬ みどり子が、賽の河原に集まりて、父恋し母恋し、こいしこいしと泣く声は、この世の声とは ことかわり、悲しさ骨身を通すなり」という仏教歌謡「西院河原地蔵和讃(さいいんかわらじぞうわさん)」を通じて広く知られるようになり、子供や水子の供養において地蔵信仰は広く民衆の間に広まりました。

この「西院河原地蔵和讃」は、幼くしてこの世を去った子供が三途の川の河原で「一つ積んでは母の為、二つ積んでは父の為」と、石を積んでは かわいらしいもみじのような手を合わせていると、そこに鬼が現れ、情け容赦なく 積まれた小石をぶち壊し、子供を責めますが、そこに地蔵菩薩が現れて、「今日よりのちは 我こそ冥途の親と思うべし」と救ってくれるというお話です。

お地蔵さんがかけているよだれかけは、幼い子供を失った両親が、かわいい我が子が せめてあの世でお地蔵さんの加護にあずかれるようにと、生前に子供が使っていたよだれかけをお供えしたのが由来と言われています。

地蔵菩薩は最も弱い立場の人々を、最優先で救済する菩薩であることから、古来より絶大な信仰の対象となっていたようです。

「Interest」in bloom-その2-

道端など町のあちこちで目にするお地蔵様。
お寺に行かなくても見ることができるので、もっとも馴染みのある仏様と言えるかもしれません。


意外と知らないお地蔵さんのこと-その2-

地蔵菩薩は閻魔大王の化身ともいわれていて、一度でも地蔵菩薩に手を合わせた人は、たとえ地獄に落ちたとしても、地蔵菩薩が救ってくれると信じられていますが、必ずしもそうではありません。

地蔵菩薩について説かれたお経は、唐の時代、西遊記でもおなじみの玄奘三蔵が翻訳した『地蔵十輪経(じぞうじゅうりんきょう)』、同じく唐の時代の『地蔵本願経(じぞうほんがんきょう)』、隋の時代の『占察善悪業報経(せんさつぜんあくごうほうきょう)』の3つが、「地蔵三経」といわれています。

地蔵本願経によると、お釈迦様の死後、弥勒菩薩が仏になるまでの56億7千万年の間、六道で苦しむ、一切の生きとし生けるものを救ってほしい。とお釈迦様本人から委ねられたとされていますが、ここでいう救済とは、無闇矢鱈に誰でもその困難から解放してくれる というわけではないようです。

殺生する者には、命が短くなる報いを教え、泥棒をする者には、貧乏になる報いを教え、悪口を言う者には、身内に争いが起きる報いを教え、怒る者には、醜くなる報いを教え、布施をしない者には、願いがかなわなくなる報いを教える。

不幸な運命は、因果応報であり、そのように教えて人々を導きなさいと説いています。

『地蔵十輪経』には、こう書かれています。

吉凶の相を執じ 鬼神を祭りて 極重(ごくじゅう)の大罪悪を生じ、無間(むげん)の罪に近づく者あり。

「吉凶の相を執じ」とは、占いのこと。

「鬼神を祭りて」とは、死んだ人間や動物の霊魂が、人間に幸せや不幸を与えると信じて祀ることです。

このような自業自得の因果の道理を信じない行いをして、無間地獄に近づいてはなりませんよ、ということで、『地蔵十輪経』には、お釈迦さまがあらゆる善を6つにまとめた六波羅蜜などの善い行いが教えられています。

お地蔵さんは、すべての人々の安全を守り、願いを叶え、病気等の苦を身代わりに受けてくれる有難い存在だと言われていますが、仏教では、因果応報の因果の道理が根幹ですから、当然ではありますが、善い運命が欲しければ、自分でいろいろな善い行いに努力しなければいけないようです。

「Interest」in bloom-その3-

日本では、地蔵菩薩の像を6体並べて祀った六地蔵を全国各地で見ることができます。

これは、全ての生命は「6種の世界に生まれ変わりを繰り返す」とする仏教の六道輪廻(ろくどうりんね)の思想に基づき、六道のそれぞれを6種の地蔵が救うとする説から生まれたものです。


意外と知らないお地蔵さんのこと-その3-

「六地蔵」は、他界への旅立ちの場である葬儀場や墓地に多く建てられ、また道祖神信仰と結びつき、
町外れや辻に「町の結界の守護神」として建てられることも多かったようです。

路傍の地蔵尊はさまざまな祈念の対象になり、難治の傷病の治癒を祈念すれば成就する、と喧伝されて著名な地蔵尊となったり(とげぬき、いぼとり、眼病、子供の夜泣きなど)、併せた寓話が後に広く童話としても知られるようになった例もあります。

これらは道祖神と習合したことにより、日本全国の路傍でこうした石像が数多く祀られましたが、別名を岐神(ふなとのかみ)、塞(さい)の神、道陸神(どうろくじん)などとも呼ばれ、交通の便に乏しい時代で大きな仏教寺院へ参詣することができず、簡易な参拝ができる身近な仏像として広く崇敬を集めました。

このような地蔵に導師が置かれた例は少なく、そのため本来の仏教の教義を離れ、神道との混同や地域の独自の民間信仰の意味合いが色濃く残っています。

これらお地蔵さんとよく似た道祖神は、中国で信仰されていた行路神が元になっているといわれています。

集落の境や村の中心、村の内と外との境界や道の辻、三叉路などに主に石碑や石像の形態で祀られる神で、村の守り神、子孫繁栄、近世では旅や交通安全の神として信仰されています。

昔は旅に出ることは死とも隣り合わせであったため、人々は道祖神に旅の無事を願ったようです。

日本の神様は仏様が姿を変えて現われたのだとする「本地垂迹(ほんちすいじゃく)」という神仏習合の思想が古代から伝えられていますが、その中で道祖神は地蔵の化身ということになっています。

道祖神が数多く作られるようになったのは18世紀から19世紀。

新田開発や水路整備が活発に行われていた時期で、集落から村外へ出ていく人の安全を願ったり、悪疫の進入を防ぎ、村人を守る神として信仰されてきたが、五穀豊穣のほか、夫婦和合・子孫繁栄・縁結びなど「性の神」としても信仰を集めました。

また、ときに風邪の神、足の神などとして子供を守る役割をしてきたことから、道祖神のお祭りは、どの地域でも子供が中心となっていました。

道祖神は日本各地に残されており、なかでも長野県や群馬県で多く見られ、特に長野県の安曇野は、約400体の石像道祖神があり、市町村単位での数が日本一。

お地蔵様と道祖神は、どちらも外からやってくる疫病などから村を守り、旅の守護神とされていますが、その性格は大きく違うようです。

「Interest」in bloom-その4-

京都四条(しじょう)西大路(にしおおじ)の北東 角にある高山寺(こうさんじ)は、通称 西院の河原 (さいのかわら)と呼ばれ、河原の石を墓石に見立てた石仏やお地蔵さんが集められ、その数は約350体にも及んでいるといいます。


意外と知らないお地蔵さんのこと-その4-

伝承によれば平安京では15歳以下の子供の葬儀は行わず、桂川(かつらがわ)に近い西院(さい)の河原(賽の河原)が葬送の地とされ、平安中期に入ると、平安京の右京は衰退・荒廃し、河原には多くの子供が捨てられたり、死骸が放置されたりという荒れ果てた地であった といいます。

それを見かねた空也上人(くうやしょうにん)は、子どもたちの亡骸を火葬にし、地蔵を刻んで供養し、その際に「賽の河原地蔵和讃」という御詠歌(ごえいか)が作られた とされています。

歌の内容は、十歳に満たぬ幼子が、親より先に死に別れ、賽の河原に集まって 父母を偲んで河原の石を積んで供養しますが、日が暮れると鬼が現れて、積んだ石塔を蹴り壊し、追い立てられた幼子は、逃げ回るも誰も助けてくれぬという哀れな歌で、そこに地蔵菩薩が現れ、懐に抱かれて成仏するという内容です。

この歌は、冥途の旅に出ざるをえなかった幼子の目を通して、その悲哀と親への免罪が描かれ、通夜などに唱えられました。

一連の研究では、空也上人に関する信頼性のある史料に和讃や地蔵信仰の事が何も触れられていないことから、 「賽の河原」思想は空也上人とは関係はなく、また、賽の河原地蔵和讃も空也上人の作ではなく、その成立は18世紀前半あたりと言われています。

この歌では、親より先に亡くなったという理由だけで子供は地獄に行き、鬼からいじめられるというなんとも理不尽な内容になっています。

この歌をよくよく読んでみると、「ただ明け暮れに汝らの、形見に残せし手遊びや、太鼓人形 かざぐるま、着物を見ては泣き嘆き、達者な子どもを見るにつけ、なぜにわが子は死んだかと、酷やあわれや不憫やと、親の嘆きは汝らの、責苦(せめく)を受くる種となり」とあり、子どもたちがいじめられる理由は、親を嘆き悲しませていることが理由のようです。

文字だけを読むと、なんともひどい話のように思いますが、親が悲しみから早く立ち直り、嘆くことなく
平穏な暮らしに戻れるようにとの意味合いだったのかもしれません。

参考資料

地蔵菩薩 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/lmpc

お地蔵さんの物語~お地蔵さんと地蔵盆のお話~
https://blooming-days.njs.xyz/lx3o

道祖神 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/i4qv

お地蔵さん・地蔵菩薩と地獄の閻魔大王の関係とは?
https://true-buddhism.com/character/jizo/

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

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