Blooming Days,Jul’26 | 倉嶋桃子|TOKYO854

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,Jul’26

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2021年7月26日(月)

今週の水曜日7/28は土用の丑の日。
土用とは、五行に由来する暦の雑節で、年に四回、立春、立夏、立秋、立冬の前、18日間の期間のことを言います。

陰陽五行思想(いんようごぎょうしそう)では、自然界は木・火・土・金・水(もく、か、ど、ごん、すい)の5つの要素から成り立っていると考えられ、季節もこの5つの要素に当てはめて、春は木、夏は火、秋は金(ごん)、冬は水(すい)の気と考えられていました。
そして、土は季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の前、18日間に割り当てられ、これを「土旺用事(どおうようじ)」と呼び、それが「土用」と呼ばれるようになりました。

土用の丑の日とは、この土用の期間の丑の日のことで、一般的には夏の土用のことを指し、今年は7/28。
年によっては、一の丑、二の丑と2日ある場合もあります。

「暑い時期を乗り切るために、栄養価の高いウナギを食べる」という習慣は古くからあったようですが、土用の丑の日に鰻を食べる習慣となったのは、1822年青山白峰(あおやま はくほう)という人が記した『明和誌(めいわし)』によれば、「暑中と寒中の土用の丑の日に鰻を食べる風習が、安永・天明の頃から始まった」と書かれています。

鰻を食べる習慣についての由来には諸説あり、当時の学者平賀源内が夏に売り上げの落ちた鰻屋に「本日土用の丑の日」と書いて店先にはり紙をするようアドバイスし、これによって店が繁盛し、他の鰻屋もそれを真似るようになったことで、この風習が定着したというお話が有名ですが、どうやらこれには、きちんとした根拠は存在せず、暑中と寒中の土用の丑の日に、鰻を食べる慣習が江戸時代に一般に広まったことは事実ですが、平賀源内の助言から始まったというのは、全く根拠がないようです。

当時、夏の土用の丑の日は「う」が付くものを食べると夏負けしないという言い伝えがあり、鰻以外にも瓜、梅干、うどん、うさぎ、馬の肉や牛の肉などを食べる習慣もあったようですので、頭のいい鰻屋さんが考えたお話なのかもしれません。

さて、今日の放送は、そんな「うなぎ」をテーマにお送りいたします。

それでは、本日の放送内容です。

「Food」in bloom-その1-

ウナギとは、ウナギ科ウナギ属に属する魚類の総称で、ニホンウナギ、オオウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなど世界で19種類が確認されています。

このうち、日本人が食用としているのは3種類だけで、日本で「ウナギ」といえば「ニホンウナギ」のことを指します。


ウナギにまつわるお話 -その1-

一般的に淡水魚として知られていますが、海で産卵・孵化を行い、淡水にさかのぼって川や湖で成長します。
サケやアユのように川で産卵し、海で育つ魚は比較的多く知られていますが、海で産卵し、川で育つ魚は、ウナギを含め種が非常に限られています。

日本の川に生息するウナギ属の魚は、ニホンウナギとオオウナギの2種のみ。

日本のウナギ属2種のうち、本州以南に広く分布するニホンウナギの生態については、まだまだわからないことが多く、特に産卵場所については長年、謎とされていました。

しかし、東京大学海洋研究所により、2005年、日本から2500km以上離れた、太平洋の西マリアナ海嶺(かいれい)付近と特定し、画期的な科学的発見として、世界的な話題になりました。

西マリアナ海嶺は、グアム島やサイパン島などが名を連ねるマリアナ諸島の西方沖、深さは3,000m~4,000mといわれています。

卵からうまれたニホンウナギの仔魚(しぎょ)レプトセファルスは、赤道のすぐ北側を
西に向かって流れる北赤道海流に乗り、フィリピンの北東部近くの海域に移動したあと、黒潮の流れに乗り、日本や台湾、韓国など東アジアに流されながらやってきます。

そして、シラスウナギに変態しながら、東アジアの沿岸域に近づき、さかのぼるのに適した河川を選び、遡上を開始し、川や池、湖などに生息域を確保すると私達がよく知るウナギへと成長します。

淡水域で過ごす期間は、オスで数年、メスは10年程度。

その後、成熟して産卵可能になると川を下り、太平洋に出て産卵場所でもある故郷マリアナ諸島西方沖へと向かいます。

しかし、日本から離れた後、どのようなルートで目的地にたどり着くのか、その行動については、まだ詳しいことはわかっていません。

2500kmの長い旅を経て日本にやって来て、また産卵のために2500kmの距離を移動するウナギ。

泳ぎは、さほど上手くなく、泳ぐスピードも早くはないそうですが、嗅覚は非常に
優れておりイヌに匹敵するそうですので、行き先を間違えることはなさそうです。

「Food」in bloom-その2-

日本で消費されるウナギの量は、2016年の資料によると年間で約5万トン。
最近は一年を通じて、スーパーやコンビニなどでも手軽に買うことができるようになりました。

近年の報道では、世界で獲れるウナギの7割を日本人が食べているといわれていますが、調べてみるとこのお話も現在の状況とは大きく異なるようです。


ウナギにまつわるお話 -その2-

このお話が出た背景には、野生生物の取引を 監視・調査するNGOであるTRAFFICの2000年の資料に、『世界の生産量に対する日本の消費率』というデータに、世界のウナギ生産量の約20万トンのうち、日本の消費量が約15万トンと記載されていたことがきっかけで、これらをもとに日本が約7割を消費していると言われるようになったとされています。

WWFの発表では、現在、消費量が減少した日本に代わり、中国が最大の消費国となっており、2015年のデータを、当時とまったく同じ計算式で算出すると、現在の日本のウナギの消費量の割合は世界の20%以下。

この消費を支えるウナギの総生産量の99%以上は、実は養殖によるものです。

養殖といっても、ウナギを人工的に飼育して産卵させ、稚魚を育てる「完全養殖」ではありません。
自然下では深海という環境で産卵し、幼生(ようせい)の段階で何を食べているかもよく分かっていないニホンウナギを、卵から育てる養殖の技術は、まだ商業の流通で必要な量を生産できるレベルに達していません。

そのため、ニホンウナギの養殖は、海や川で採捕したウナギの稚魚であるシラスウナギを「種苗(しゅびょう)」として養殖池に「池入れ」し、養殖場で大きく育てる形で行なわれます。
しかし、実は日本で食べられているウナギは、日本国内で採捕され養殖されたものだけではありません。
台湾や中国など、海外からも輸入されて日本の養殖池に入れられるものも多くあります。
これらはいずれも、養殖場のある日本の地名で販売されています。

これは、シラスから出荷サイズになるまでに、「一番長く養殖された場所を産地と表示する」と決められている為、中には産地を日本国内とするために様々な方法でロンダリングしているケースもあるようです。

国産のウナギと外国産のウナギの大きな違いは、その見た目。

皮が薄く、小骨も少なく、大きさも小さい国産のウナギに対し、中国産のウナギは皮は厚くゴムのような弾力があり、小骨も太く身も大きいのが特徴です。
また、ビニールハウスの中で育てられる国産のウナギと違い、中国産のウナギは広大な池に、穴を掘ったところで育てられるため、泥の影響による匂いの違いもあります。

大手スーパーのイオンでは、新商品「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」の販売を発表しました。
こちらの商品の特徴は「シラスウナギの産地まで追跡(トレース)できる」こと。

正式な許可を得た採捕団体が、浜名湖で採捕したシラスウナギを正規ルートで購入し、指定養殖業者が他のルートから仕入れたシラスウナギと混ざらないように育てたウナギです。

国産のラベルがついているものでも、身が厚くゴムのような弾力のあるウナギを目にすることがあります。

ウナギ業界では、違法行為が横行しているようですので、今後、安心、安全に美味しく食べられるよう変革されていくことが期待されます。

「Food」in bloom-その3-

ウナギが本格的に食べ物として定着してきたのは徳川家康の時代。
江戸を開発した際、干拓によって出来た湿地に、鰻が住み着くようになったため、鰻は労働者の食べ物となりました。
当時は、ウナギのことを「江戸前」と呼び、「江戸前大蒲焼番付(えどまえおおかばやきばんつけ)」という本が発売されるほどウナギの蒲焼が大いに流行しました。


ウナギにまつわるお話 -その3-

宮川 政運(みやがわ まさやす)の「俗事百工起源(ぞくじひゃっこうきげん)」によると、堺町(さかいちょう:現在の東京日本橋人形町)で大久保 今助(おおくぼ いますけ)がこの鰻丼を考え出したとされており、御飯にタレが染込んだ味はこの芝居町(しばいまち)で大人気となり、葺屋町(ふきやちょう:堺町の隣町)にある大野屋が「元祖鰻めし」という看板で売り出したのが最初だと言います。

当時は、蒲焼の文字通り、蒲の穂のようにぶつ切りにしたウナギを、串に刺して焼いただけという食べ方で、値段も蕎麦と変わらなかったようです。

江戸で濃口醤油が開発されると、ウナギをタレで味付けして食べるようになり、現在のように開いてタレにつけて焼くようになったのは、上方、江戸とも享保の頃(1716-1736年)と言われています。
蕎麦ほど徹底した美学はないものの、注文があってから一つひとつ裂いて焼くために時間が掛かることから、「鰻屋でせかすのは野暮」、「蒲焼が出てくるまでは新香で酒を飲む」など、江戸っ子にとっては一家言ある食べ物でもあります。

土用の丑の日に夏バテ予防と称して食べられますが、疲労研究の第一人者である大阪市立大学大学院特任教授の梶本教授によれば、食肉など栄養価の高いものを食することが当たり前になった現代においては、エネルギーやビタミン等の栄養不足が原因で夏バテになることは考えにくく、夏バテ防止のためにウナギを食べるという行為は医学的根拠に乏しいとされ、効果はあまりないとしています。

古くから「鰻と梅干は食べ合わせが悪い」とされていますが、これは貝原益軒の『養生訓』にも記載がなく、江戸時代中期以降に広まった日本固有の俗信と考えられており、医科学的な根拠は見出せないと言われています。

実際には、鰻を食べた後に梅干を食べる事により、梅干の酸味が鰻の脂を緩和する効果があるため、食べ合わせは良いそうです。

海外では、アジアの他、ヨーロッパでもイギリス、オランダやイタリアなどにウナギを食べる文化があり、内陸部でも淡水ウナギを使った料理が存在し、古代ローマ人の好物でもありました。
古代ローマではウナギを背開きにし、魚醤とはちみつを混ぜたタレを塗りながら、パピルスや羽うちわで扇ぎつつ、炭で焼き、胡椒を掛けて食べていたとされ、古代ギリシャの医師ヒポクラテスは「ウナギの食べ過ぎなどによる肥満は人間の体の最大の敵」と書き残しています。

一方、ユダヤやイスラームでは「鱗の無い魚は食べてはいけない」という戒律から、近年まで鱗が目立たない鰻を食べることはタブーとされており、現在でも一般的にはタブーとされる事がほとんどだそうです。

ちなみに、現在日本では「鰻」という苗字を有する人が20名程度存在し、直系の者については、ウナギに関する食のタブーが存在する場合があるようです。

「Food」in bloom-その4-

ウナギは地域によって特に関東と関西では焼き方や捌き方、味付け等の調理方法が違います。


ウナギにまつわるお話 -その4-

江戸は背開き、西は腹開きと言われていますが、その食べ方は、佃煮などを除き、ほぼすべてが焼き物で、白焼き、蒲焼きのふたつのうちのいずれかです。
白焼きは割いて焼いただけか、一度蒸して軽く焼いたもの、蒲焼きは白焼きして、しょうゆやみりんなどで作られたタレをかけて焼き上げたもの。

関東では頭を落として焼き上げますが、中部、西日本では頭つきのまま焼き上げるといった違いや、関東では「蒸す」工程があり、その他の地方では「蒸す」工程を入れない直焼きであるといった違いもあります。

関東では背開きで一度焼き上げた後で蒸し、これを再度焼いて、たれをつけたものが蒲焼き、
軽く焼いただけのものは白焼きとなりますが、名古屋を初めとする愛知県、岐阜県、三重県は腹開きが多く、長いまま焼き上げる長焼きで、「蒸す」工程を入れない地焼き(じやき)です。

四角い重箱は使わず、丼か丸い塗り物が使われていて、タレはやや甘めという特徴があり、櫃(めしびつ)の中でまぶして食べる「ひつまぶし」が生まれたのもこのエリアです。

一方、京都・大阪では、ウナギを腹の方から裂き、頭のついた長いまま焼き上げる「長焼き」が
主流で、頭は最後に切り落とし、落とした頭部は半助(はんすけ)と呼び、ウナギ店などで売っています。

大阪では、「まむし」と呼ばれる食べ方があり、これはご飯にも「たれ」を混ぜ込み、まずタレのしみこんだご飯を入れて、蒲焼きを挟んで、またご飯をのせるという盛り付けで食べます。

「まぶし」が転じて「まむし」になったとも言われています。

また、九州では、蒲焼きにしてから「蒸す」という独特の食べ方があり、
ご飯にウナギのタレをからめてから、ウナギの蒲焼きをのせて蒸す「せいろ蒸」といった食べ方もあります。

ここ最近の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で、お店に出向いてウナギを食べることを控えている方も多いかと思います。

スーパーで買ったウナギをより美味しく食べるコツは、ウナギのタレを洗い流すこと。

これは、スーパーなどでは、味よりも見た目を優先させるために、着色料や保存料を多く使ったタレを使っているケースが多く、このタレのせいで臭みが増し、ウナギ本来の味を損ねているからで、
このタレを水道水できれいに洗い流し、お酒を振り、魚焼きグリルで五分ほど焼き、最後にお好みで
タレを振ると、より一層美味しくいただけます。

ふわっと香ばしい美味しいウナギをぜひ、お召し上がりください。

参考資料

ウナギ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/3wdw

土用 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/nnj3

土用の丑の日 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/2cfs

土用鰻の平賀源内起原説の出鱈目 – うたことば歳時記
https://blooming-days.njs.xyz/9ns6

ウナギという生物の知られざる素顔と生態 |WWFジャパン
https://blooming-days.njs.xyz/nccw

間違いだらけの“うなぎ報道”…「日本は世界のうなぎの7割を食している」のウソを正す! | citrus(シトラス)
https://citrus-net.jp/article/51899

ウナギの市場の動態 – WWFジャパン
https://blooming-days.njs.xyz/su7j

あなたも食べてる「違法ウナギ」排除 イオン新商品の画期:日経ビジネス電子版
https://blooming-days.njs.xyz/oh2s

ウナギ | 市場魚貝類図鑑
https://blooming-days.njs.xyz/phrv

鰻製造者が教えた☆驚きの!美味しい温め方 by ねっちゃんっ 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが355万品
https://cookpad.com/recipe/851507

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。7/26分については、放送終了後に更新いたします。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

見るラジオ

今回は、ウミガメと一緒に泳ぎながらラジオを聴く、そんな気分になれるような動画を作ってみました。

今回使用している動画は、下記のものを使用させていただいています。

動画について

ウミガメ!ウミガメ!ウミガメ!@沖縄 波照間島ニシ浜
クレメア【Vyond動画クリエイター】
https://www.youtube.com/watch?v=3G2BkK8Yo4c

動画内で使用している楽曲は、次世代を担うミュージシャンたちのものです。気になる曲があったらリンク先サイトを覗いてみて下さい。

動画内音楽について

Lie in the Sun by ORKAS
https://artlist.io/song/34496/lie-in-the-sun

Back to 95 by Michael Shynes
https://artlist.io/song/33262/back-to-95

The Future Is Now by MARLOE.
https://artlist.io/song/13335/the-future-is-now

Everybody Get Up by Ian Post
https://artlist.io/song/5652/everybody-get-up

Born Again by Michael Shynes
https://artlist.io/artist/341/michael-shynes

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