Blooming Days,Jul’05 | 倉嶋桃子|TOKYO854

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,Jul’05

  • PODCAST

    ※アプリをインストールしてお聞きください。Spotify Freeはずっと無料のプランです。 期間限定でもなければ、登録にクレジットカードも必要ありません。 放送後記は、放送終了後に公開します
  • facebook

  • Twitter

2021年7月5日(月)

昨日、一昨日と活発な梅雨前線の影響で東海地方や関東 甲信地方を中心に激しい雨が降りました。
私達人間をはじめ生物にとって雨は、生きていくために必要不可欠な水を供給してくれる大変ありがたいものですが、時と場合によっては私達の生活を脅かすような自然災害を巻き起こします。

一方、ペルーやエジプト、バーレーンなど、慢性的に雨が降らず生活用水が枯渇している地域も世界には多く存在します。
このため、アフリカでは12億人という非常にたくさんの人たちが、安全な飲み水にありつけない、という状況になっており、不衛生な水しか飲めないために、実に毎日約6千人という人が亡くなっています。
また、雨が降らないことが原因で、アメリカやオーストラリアで森林火災が増えており、雨と私達の関係は切っても切れないものとなっています。

今日は、「雨の日と月曜日は Ⅱ」をテーマに「雨にまつわるお話」をお送りいたします。

それでは、本日の放送内容です。

「Interest」in bloom-その1-

古来より、恵みをもたらす半面災厄をもたらす雨を、私達人間は崇拝すると同時に非常に恐ろしいものと考えていました。


雨の日と月曜日はⅡ-その1-

メソポタミア神話の天候神アダド、ヒッタイトの天候神テシュブ、フェニキアの嵐の神バアルは天候を支配し雨や洪水を司るとされ、神の怒りが洪水や干ばつの原因だとして恐れられていました。

また、ギリシア神話では、全能の神ゼウスが雷を武器として他の巨人や神々と戦う際に雨が降るとされ、インド神話では、王インドラが雷神でもあり、悪竜ブルトラを退治することで川に水を取り戻し、田畑を干ばつから救ったとされています。

日本でも、スサノオがヤマタノオロチを倒した際にその尾から出た天叢雲剣(あめの むらくもの つるぎ)が、雲を司る神器とされ、スサノオが高千穂峰(たかちほのみね)に降りた天孫降臨(てんそんこうりん)の際には、雨と風がもたらされたと伝えられています。

雨と関わりの深い農耕や牧畜を行う民族・部族では「雨乞い」の習わしがあり、雨への依存が大きいアフリカの農民や牧畜民の間では、雨乞いを行う雨乞師の社会的地位が高いという特徴があります。

雨乞いの儀式には広く水や煙、鉦(かね)などが用いられるますが、これは水が雨、煙が雲、鉦が雷鳴を象徴する類感呪術(るいかんじゅじゅつ)であると考えられており、特徴的な形状の自然物を「雨石(うせき)」や「雨の葉」などの神聖な物として祀る習慣もあります。

これに対し、長雨の終息を祈る「晴れ乞い(はれごい)」の習俗も存在しますが、雨乞いほど多くはないようです。

日本では、雨はそれ自体神格化されず、水神や龍神が司るものとされ、神の出現の際には、神威の現れとして雨が降るとされており、七夕などの節日(せつにち)や神社の祭礼の日には雨が降るという伝承も各地に伝わっています。

田植えを終える目安とされる半夏生の日に降る雨を半夏雨と言い、田の神が天に昇るときの雨だとされていたり、お正月や節分における天気占いや雨乞いの儀礼が各地で行われてきました。

一方、大雨による洪水や山崩れを蛇身と化した水神のしわざだとする伝説や、激しい夕立や竜巻を龍神の昇天だとする伝承もあります。

日本では、古来より雨は多くの文学や芸術のモチーフに叙情的に描かれ、江戸時代の浮世絵版画においては歌川広重が、交差する線など多様な雨の表現を作り上げました。

歌川広重の描いた細かい雨の描写方法は、当時、線で雨を視覚化する発想のなかった西洋においては革命的で、大胆な構図、遠近法など西洋の画家たちに大きな影響を与え、のちに西洋の印象派画家達の間で広がったジャポニズムの流行を生み出すきっかけともなりました。

あの有名なゴッホも、歌川広重の技術とセンスに感銘を受け、いくつかの作品を模写したことは有名です。

ところで、雨の描かれた浮世絵を見てみると、草履を脱いで裸足になっている人を見つけることができます。
当時の人は、思いも寄らない突然の夕立に見舞われると、それまで履いていた草履を脱いで裸足になることがしばしばあったようです。

「Interest」in bloom-その2-

天気は、現在でも多くの人々の生活に大きな影響を与えていますが、古代においては、今にもまして重要なことでした。


雨の日と月曜日はⅡ-その2-

紀元前650年に、バビロニア人は雲のパターンから天気を予測し、紀元前およそ340年には、アリストテレスが気象学に基づいた天候のパターンを描き出しました。

しかし、古代の天気予報の方法は、天候のパターンを見つけることに依存していたため、日没時に空が際立って赤かったならば、翌日は快晴が予想される、太陽に光の輪っかがかかると次の日は雨などといった具合に、全ては人々の経験に頼ったものでした。

自然現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測することを観天望気(かんてんぼうき)と呼び、古来より漁師、船員などが経験的に体得し使ってきました。

観天望気は科学的な観測に基づく公式な天気予報と同等の正確性はありませんが、天気の変化の参考になるものもあります。

日本国内でも古来から鳥や虫などの状態から予想する観天望気があります。

湿度が高いと、昆虫が低く飛ぶとされていることから「ハチが低く飛ぶと雷雨になる」、湿度が高いと、餌となる昆虫が低く飛ぶため「ツバメが低く飛ぶと雨」 や、「ミミズが地上に這い出したら大雨になる」「ヤマバトが鳴くと雨になる」「クモ」が糸を張ると明日は天気が良いというのもあります。

「カエルが鳴くと雨」というのもよく聞きますが、郡山の実家にいた子供の頃を思い出すと、たしかに雨の降る直前にはカエルがケロケロ鳴き出した記憶があります。
湿度が高くなり雨の可能性が高くなると、蛙の活動が活発になるという事から言い伝えられているお話ですが、調べてみると、これは現在の気象庁にあたる中央気象台の調査でも、裏付けられている天気予報だそうです。

海外にもこういった天気にまつわる民間伝承は多くあり、ドイツでは「10月が荒れると、1月は寒くない」「1月が白ければ、夏は間違いなく暑くなる」など、他のヨーロッパ諸国に比べて人々の生活に根付いているようです。

現在、アメリカやカナダで2月2日に催される、ジリスの一種グラウンドホッグ(ウッドチャック)を使った春の訪れを予想する天気占いの行事「グラウンドホッグデー」は、この日、冬眠から目覚めたグラウンドホッグが外に出て自分の影を見ると、驚いて巣穴に戻ってしまうとされており、このことから、春の到来時期を占うものですが、起源はドイツのアナグマによる気象伝承によるものとされており、ドイツやオーストリアには、アナグマを同じ2月2日の聖燭祭(せいしょくさい)に観測し、影があると冬が長引くという、まったく同様の気象伝承が伝わっています。

「観天望気」は、科学的手法で作られた天気予報が使われている現在においても、まだその役割は残っているようです。

「Interest」in bloom-その3-

私達が住むここ日本の年間降水量の平均は約1,700mm。
世界の平均値は約880mmですから、降水量が多く水が豊かな国と言えるでしょう。
しかし、慢性的に雨が降らず生活用水が枯渇している地域も世界には多く存在します。


雨の日と月曜日はⅡ-その3-

チリのアタカマ砂漠は地球上で最も降水量が少ない地域で、年間降水量が10mmにも満たず、過去には0mmという年もありました。
その中央部は、気象学者が「純砂漠」と呼ぶ地上で最も乾燥した地域で、これまで一度も降水が記録されていない地帯もあるそうです。

アタカマ砂漠のあるチリ北部の太平洋沿岸部は、ほとんど雨が降らないので、このあたりの集落では、長らく、生きていくために必要な水をトラックで輸入するほかありませんでした。
この地域は、雨はめったに降りませんが、“カマンチャカ”と呼ばれる濃霧が頻繁に発生しており、住民は、この土地でも豊富に手に入る水分“霧”を利用する方法を発見しました。

サンチアゴのカナダ 国際開発研究センターとカナダ大使館の協力を受け、村人たちは10年前から、山脈を越えて地表に降りてくる霧をネットで捕らえる独創的な装置で、水を確保するようになりました。
この装置は、網目の細かいネットをつなぎ合わせた樋の上に、垂直に吊るしたもの。
ネットに付着した霧が水滴となって樋に滴り落ち、管を伝って村へ流れていく仕組みです。

空気中の水分を集める技術自体は昔からあり、10ヶ国以上で飲み水をつくり出すのに利用されていましたが、なかなか効率が悪く普及はしませんでした。
しかし、マサチューセッツ工科大学が従来の5倍の効率で空気中の水分を集める新しい技術を開発したということで期待を集めています。

風の強い日であれば、一日最大12リットルの飲み水が得られるそうで、カチャマンカに含まれる水分の4%を集めるだけで、チリの最北4地域(アタカマ砂漠と同じ広さ)で必要な水を供給できるとのこと。

現在、住民は庭で草花を育てたり、毎日シャワーを浴びられるようになったそうですが、最近になって、昨今の気象変動からか、珍しく雨が降る日が増え、突然の雨に対応できない様々が微生物が絶滅していることが判明しました。

「アタカマ砂漠に雨が降ったら、花々が咲き乱れ、砂漠に生命が芽吹くと期待していました」というアメリカ コーネル大学の宇宙生物学者アルベルト・ファイレン氏はショックを隠せない様子です。
なかなかうまくいかないものです。

「Interest」in bloom-その4-

世界の多くの文化圏には、「雨は神からの贈り物であり、それが途絶えるのは神の罰である」という観念がありました。
方法は違えど、世界中の雨乞いの儀式は神の注意を惹き、喜ばせ、同情を買う目的で行われると言われています。


雨の日と月曜日はⅡ-その4-

雨乞いは部族の中で賢者として尊敬を集めている人物が儀式を取り仕切り、神と人々との間を取り持ちます。
こうした人物は雨乞い師と呼ばれ、天候は月の満ち欠けと関係があると考えた社会では、雨乞いで女性が重要な役割を果たしていました。

世界の様々な文化圏でカエル、ヘビ、サンショウウオ、カメなど、雨や雨を司る神と関係があると考えられており、雨乞いの儀式では生け贄や小道具として用いられます。

日本でも各地に様々な雨乞いが見られますが、大別すると、山野で火を焚く、神仏に芸能を奉納する、禁忌を犯す、神社に参籠する、呪術を行うなどがあります。

山野、特に山頂で火を焚き、鉦や太鼓を鳴らして大騒ぎする形態の雨乞いは、日本各地に広く見られ、山伏や修験道の行者など、専門職の者が行うことも多く、霊験あらたかな神の水を振り撒いて雨を模倣し、あるいは火を焚いて煙で雲を表し、太鼓の大音量で雷鳴を真似るなど降雨を真似ることで、実際の雨を誘おうとするタイプの呪術がおこなわれていました。

また、通常は水神が住むとして清浄を保つべき湖沼などに、動物の内臓や遺骸を投げ込み、水を汚すことで水神を怒らせて雨を降らせようとするものや、石の地蔵を縛り上げ、あるいは水を掛けて雨を降らせるようとするものもあり、現在でも一部の地方でおこなわれています。

多くの場合、雨が降るまでひたすらこの儀式を行っていたようですので、結果として成功率は100%に近かったようです。

参考資料

雨 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/87su

天気予報 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/6ejb

観天望気 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/on6y

雨乞い – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/2ht7

グラウンドホッグデー | owlapps
https://blooming-days.njs.xyz/s1m8

雨が降らないところで暮す人の知恵 – 不便を愉しむ、さえらるる暮らし
https://blooming-days.njs.xyz/tomc

地上でもっとも乾燥したアタカマ砂漠では、雨は恵みではなく死をもたらす(チリ) : カラパイア
https://karapaia.com/archives/52267911.html

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。7/5分については、放送終了後に更新いたします。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

見るラジオ

今回は、チェコ共和国の首都プラハをお散歩しながらラジオ番組を聴く、そんな気分になれるような動画を作ってみました。

今回使用している動画は、下記のものを使用させていただいています。

動画について

Walking in PRAGUE / Czech Republic 🇨🇿- 4K 60fps (UHD)
POPtravel
https://www.youtube.com/watch?v=J7HIfklyF9w

動画内で使用している楽曲は、次世代を担うミュージシャンたちのものです。気になる曲があったらリンク先サイトを覗いてみて下さい。

動画内音楽について

Anything & Everything by J Lind
https://artlist.io/song/46879/anything–everything

Runaway by Lightboys
https://artlist.io/song/65306/runaway

The next Line by Eldar Kedem
https://artlist.io/song/65440/the-next-line

Let the Good Times Roll by Ofer Koren
https://artlist.io/song/64808/let-the-good-times-roll

One Hundred Pills per Person by Benjamin Adair Murphy
https://artlist.io/song/64419/one-hundred-pills-per-person

Super Music Wide