Blooming Days,Jun’14 | 倉嶋桃子|85.4MHz FMひがしくるめ

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,Jun’14

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2021年6月14日(月)

今日6/14は、数々の映画音楽で知られるアメリカの作曲家・編曲家であるヘンリー・マンシーニの命日です。

ヘンリー・マンシーニは、1958年のテレビシリーズ『ピーター・ガン』を皮切りに、1961年のオードリー・ヘプバーンの主演映画『ティファニーで朝食を』、1963年の『シャレード』、大ヒット・シリーズとなった『ピンク・パンサー』、そして1971年から放映開始した人気テレビ・シリーズ『刑事コロンボ』などの音楽を手がけたことでよく知られています。

マンシーニは、1924年オハイオ州クリーヴランドに生まれ、イタリア系アメリカ人でオーケストラのフルート奏者だった父の影響で幼い頃からピアノを学び、フルートとピッコロの英才教育を受けると、ハイスクールを卒業後、ベニー・グッドマンの勧めでニューヨークへ移住。

名門ジュリアード音楽院に進学するかたわら、グレン・ミラー楽団にアレンジャー兼ピアニストとして参加。その後1952年にユニヴァーサル・スタジオへ入社し、1958年にブレイク・エドワーズ監督と知り合ったことをきっかけに、映画界へ進出し数々の名曲を作り上げました。

『ティファニーで朝食を』では、声域の狭いヘプバーンのために、1オクターブの制限のなかで劇中歌「ムーン・リバー」を書いてアカデミー歌曲賞に輝くなど、60年代のハリウッド映画音楽には欠かせない存在でした。

クインシー・ジョーンズは、
「アメリカ映画のみならず、世界中の映画音楽の大きな流れを変えたのは、ヘンリー・マンシーニでした。彼はこれ迄の映画音楽がストリングス中心に構成されているのに反対し、サックスやヴィヴラフォンといった軽妙なサウンドを出す楽器を頻繁に使い、さらにビートの効いたスコアを書いたのです」と彼を評しています。(柳生すみまろ氏著「映画音楽/その歴史と作曲家」より抜粋)

温厚な人柄で知られ、ヘプバーンやクインシー・ジョーンズ、ジェリー・ゴールドスミスら、数多くの友人に慕われ、またモーリス・ジャールやミシェル・ルグラン、ラロ・シフリンといった外国人作曲家にも親身に関わったと言われています。
人望も厚く、いくつかの大学では名誉博士号を受け、後進の育成にもあたっていました。
今日は、そんなヘンリー・マンシーニが携わった映画やテレビ、音楽にまつわるお話をお送りいたします。

参考資料

ヘンリー・マンシーニ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/3u9m

それでは、本日の放送内容です。

「Interest」in bloom-その1-

NBCミステリー・ムービーは、1971年9月から1977年5月までアメリカのNBCで放送された2時間、もしくは90分のテレビドラマの枠で『刑事コロンボ』、『警部マクロード』、『署長マクミラン』などを放送していました。

共通のオープニングテーマは、日本では「刑事コロンボのテーマ」としておなじみのヘンリー・マンシーニ作曲の『Mystery Movie Theme』。


映画「刑事コロンボ」について

ピーター・フォーク主演の刑事コロンボは、NBCミステリー・ムービーが打ち切られた後も単発のTVムービーとして放送されました。

独特のテンポで進むストーリーで、知的で社会的地位も高い犯人が完全犯罪を目論むも、一見愚鈍で無害そうなコロンボにアリバイを突き崩され、自ら破滅の道を転落する必罰的展開ながら、コロンボと犯人との駆引き、静かにそして確実に追い詰められて行く犯人の内面の葛藤・焦りといった感情描写や、コロンボのユーモラスな台詞回しなど、そのいずれもが味わいのある1話完結の人間ドラマとなっていました。

コロンボは、ロサンゼルス市警察 殺人課に所属する警察官で、階級は「Lieutenant(ルテナント)」。
日本語版の作品のタイトルは「刑事コロンボ」ですが、日本語版の放送やビデオの日本語訳字幕では一貫して「コロンボ警部」とされていました。

シリーズを通して、劇中でコロンボのファーストネームが登場したことは一度もなく、コロンボも名前を尋ねられた際、「私を名前で呼ぶのはカミさんだけです」と答えています。

よれよれのレインコート、安葉巻、櫛の通っていないボサボサの髪の毛と斜視による藪睨み、猫背が特徴で、一見すると冴えない風貌で庶民臭い凡庸な人物となっていました。
口癖は”Just one more thing.”(「あと1つだけ」)。”My wife…”(「うちのカミさんがね……」)など。

火のついていない安葉巻を携帯していますが、ライターやマッチは大抵誰かに借りており、メモする際も、ボールペンや鉛筆は自分では出さずに常に誰かから借りていて、相手から借りることができなかった場合のみ、自分が携帯しているものを取り出すスタイルで、周辺の人や犯人からペン類を借りて、そのまま忘れて持ち帰りそうになってしまうことも多くありました。

事件が起こっても急いで現場に駆けつけることは少なく、たいていは実況検分が、あらかた終わってから顔を出し、しかも、自身が注目する以外の物事には大して興味を示さず、現場保存にも執着せず、火の着いた葉巻をくわえながらコロンボなりの検分ですませる事が大半でした。

また、たびたび食事を抜いて現れ、ゆで卵持参であったり、現場となった豪邸でつまみ食いをしたりすることもありました。

捜査中に、その存在をよく引き合いに出されるコロンボの妻は、画面に登場したことはなく、夫のコロンボが語るところによると、夜学に通って会計学を勉強していて、缶詰の景品で海外旅行を当てたことがあるようです。

キャラクターのモデルはフョードル・ドストエフスキーの『罪と罰』に出てくる、見た目が冴えないが推論や心理テクニックを駆使して犯人を追い詰めていく、有能なポルフィーリ・ペトローヴィチ予審判事とされています。

最初に完全犯罪を企む犯人の周到な犯行を視聴者に見せた後、一見して隙のない犯人が見落としたほんの僅かな手がかりを元に、コロンボが犯行を突き止める物語となっていますが、これは、ミステリー小説では倒叙物(とうじょぶつ)と呼ばれる形式で、視聴者はあらかじめ犯人とその犯行を知っているので、「犯人と視聴者は一体何を見落としていたのか」「コロンボがどうやって尻尾をつかんで犯人を追い詰めるか」「犯人側の心境に重ねる緊張や焦り」などの心理的駆引きが展開されていく飽きない構成でした。

子供のころ、父と一緒によく見ていたことを思い出しました。
また久しぶりに見てみたくなりました。

参考資料

刑事コロンボ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/s41u

NBCミステリー・ムービー – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/gs61

「Interest」in bloom-その2-

『ひまわり』は、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが主演した、1970年公開のイタリア・フランス・ソビエト連邦・アメリカ合衆国の合作映画。

監督はヴィットリオ・デ・シーカ。冷戦期にソビエト連邦で初めて撮影された西側諸国の映画です。
音楽をヘンリー・マンシーニが担当し、数多くの映画音楽を手がけた彼の作品中でも特に評価は高く、主題曲は世界中でヒットしました。


映画「ひまわり」について

戦争によって引き裂かれた夫婦の行く末を悲哀たっぷりに描いた作品で、エンディングでの地平線にまで及ぶ 画面一面のひまわり畑が評判となりました。

このひまわり畑は、ソビエト連邦時代のウクライナの首都、キエフから南へ500キロメートルほど行ったヘルソン州で撮影されたもので、数あるソフィア・ローレン主演の映画の中で最も日本で愛されている作品と言われています。

舞台は、第二次世界大戦中のイタリアとソ連。
ナポリの海岸で出会い恋に落たジョバンナとアントニオ。

アフリカ戦線行きを控えた兵士だったアントニオですが、精神疾患による除隊を目論み精神病院へ入院するも、それが偽りであったことが発覚したために、アントニオは懲罰のためソ連戦線へと送られることになります。

やがて戦争が終わり、駅でひたすらアントニオの帰りを待つジョバンナでしたが、彼が現れることはありませんでした。

そんなある日、ソ連戦線でアントニオと一緒だったという1人の兵士に出会い、彼が極寒の雪原で倒れていたという話を聞きます。
諦めきれないジョバンナは意を決してひとりソ連の地へ向かい、写真を手にアントニオの消息を尋ねて回りますが、手がかりはなく、各国の戦没者が眠るという広大なひまわり畑にもアントニオの名前はありませんでした。

言葉も通じない異国で、なおも諦めずにアントニオを探し続けるジョバンナは、ある村で写真を見せた3人の中高年の女性たちから、ロシア人女性マーシャと幼い女の子カチューシャが暮らしている一軒の慎ましい家に案内されます。言葉は通じずとも互いに事情を察するジョバンナとマーシャ。

イタリアに戻り失意の日々を過ごしていたジョバンナでしたが、ある日、アントニオからイタリアに来ているとの連絡を受けます。

迷った末に再会を果たした2人でしたが、ジョバンナもまた別の人生を歩んでいることを知ったアントニオは、ソ連に帰ることを決心します。
そしてジョバンナはアントニオを見送るために駅を訪れ、かつて出征で見送った時と同じホームで再び彼を見送りました。

参考資料

ひまわり (1970年の映画) – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/tsex

「Interest」in bloom-その3-

『ティファニーで朝食を』は、トルーマン・カポーティによる中編小説。
ニューヨークを舞台に、自由奔放に生きる女性主人公を描いた内容で、1961年にオードリー・ヘプバーン主演でパラマウント映画によって映画化されました。

監督はブレイク・エドワーズ、主演はオードリー・ヘプバーン、共演はジョージ・ペパード。
トルーマン・カポーティの原作とは異なり、映画は主人公と語り手の作家との恋を中心に描いています。


映画「ティファニーで朝食を」について

車も人もいないNY5番街の早朝5時に、黄色いタクシーから降りるオードリー・ヘップバーン。

華麗なジバンシィのドレスに合わせるのは、コーヒーと紙袋に入ったクロワッサン。
ショーウィンドウを覗き込みながら朝食を食べるシーンから始まり、コーヒーを口に運ぶシーンで、ヘンリー・マンシーニのムーン・リバーが流れます。

ジョニー・マーサー作詞・ヘンリー・マンシーニ作曲でヘプバーン自身が歌ったこの有名な曲は、劇中歌としてヘプバーンがアパートの窓際でギターを弾いて歌ってもいました。

アカデミー主題歌賞も受賞し、アンディ・ウィリアムス、ルイ・アームストロング、サラ・ブライトマン、サラ・ヴォーン、フランク・シナトラなど、数多くのアーティストによりカバーされたこの曲ですが、映画完成後の試写会で、歌のシーンはカットした方がよいと言い放った就任したばかりのパラマウント映画の新社長に対し、ヘプバーンが激怒して立ち上がり「絶対にカットはさせません」と言ったといわれてきましたが、ヘンリー・マンシーニ自身が書いた自伝では「オードリーは何か言いたそうに、椅子の中で、もぞもぞしていただけ」ということが挙げられており、実際にはヘプバーンではなく、プロデューサーであるリチャード・シェファードが「絶対にカットなんてさせないぞ。するなら俺を殺してからにしろ!」と言ったと明かされています。

この曲の作詞者ジョニー・マーサーは、アメリカ南部ジョージア州サヴァンナの出身。
映画でヘプバーン演ずる主人公ホリーも同じ南部出身というつながりから、少年時代の思い出が歌詞に盛り込まれていると言われており、作詞者の実家近くに流れるバックリバーをイメージしたもので、この曲の大ヒットを受けて、この川の名前もムーンリバーに変更されました。

この曲の歌詞の最後にある「Huckleberry」(ハックルベリー)とは、北米で見られるコケモモに近いツツジ科のスノキ属およびGaylussacia(ゲイルサシア)属の植物に対する総称。
ハックルベリーの丸い果実はブルーベリーに似ていますが、ブルーベリーにはない独特の酸味や香りがあります。

わずか10節から成る、とてもシンプルな曲で、メロディの音域は、1オクターブと1音しかないオードリー・ヘプバーンの声域に合わせて作曲されています。
最初の3音を作るのに一ヶ月かかったが、その後はわずか30分ほどで完成したと、マンシーニの未亡人ジニーが、2015年のBBCのインタビューで語っています。

参考資料

ティファニーで朝食を – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/xuo2

「Interest」in bloom-その4-

1962年のアカデミー 歌曲賞に選ばれ、グラミー賞では最優秀 レコード賞、最優秀 楽曲賞、最優秀編曲賞を受賞した『酒とバラの日々』は、1962年に制作された同名の映画のテーマソングでした。
『The Days of Wine and Roses』タイトルだけを見るととてもロマンチックな内容のように思えますが、この映画は、アルコールに溺れていく夫婦をジャック・レモンとリー・レミックが演じたシリアスなドラマになっています。


映画「酒とバラの日々」について

作詞は、「Moon River」同様ジョニー・マーサー。
ジョニー・マーサーは作詞をするにあたり、マンシーニの曲と、タイトルをもらっただけ。
映画が、どんな内容なのかは、全く説明も受けていなかったと語っています。
彼自身がそうだったアルコール依存症がテーマとは、思いもつかなかったと語っています。

マーサーは、マンシーニ邸でこの曲のメロディーを何度も弾いてもらい、当時登場したばかりのカセット・レコーダーに録音して家に戻りました。

帰りの車中、どんな歌詞にしようか、色々と考えてはみたものの、タイトルが長すぎて、全くアイデアが浮かばない。

ところが、家に戻り、ピアノのある部屋で 壁にもたれて一杯やっていると、ふと最初の16小節のセンテンスが浮かび、残りの16小節も、書き留めるのが間に合わないほど歌詞が溢れてきた!まるで神が僕に代わって作ってくれたようものだ。作詞のクレジットは、僕ではなくて”神”としておいてほうがよさそうなほどだった…と語っています。

2日後、マンシーニとマーサーは出来上がった主題歌を監督に聴かせるために、ワーナー・ブラザーズの撮影所に赴きました。

オーディションの場は、撮影現場に近い古ぼけた木造の音楽スタジオ。
マンシーニは、百戦錬磨の作曲家でありながら、「ダメ出しされるのではないか?」と不安になるタイプだったようですが、元々一流バンド・シンガーだったマーサーは、堂々たる歌唱を聴かせたそうです。

オーディションには、監督のブレイク・エドワーズに加え、主役のジャック・レモンが同席したと、マンシーニは回想しています。

「プロデューサー達の前で、自作曲を演奏するとき、私は決して彼らの顔を見ないようにしている。エンディングの後、長く重苦しい沈黙が流れた。10秒ほどの沈黙が、私には10分に感じた。その間、私は、ひたすら鍵盤を見つめていたが、とうとう我慢できなくなり、ブレイクとジャックの方を見た。するとジャックの頬に涙が流れているが見えた。ブレイクの目も潤んでいた。もう、彼らに、この歌を気に入ったかどうか、尋ねる必要はなかった…」

歌詞には、
Through the meadowland toward a closing door.
A door marked “Nevermore”.That wasn’t there before.
(和訳)
牧草地を通って逃げる先には閉まりかかった扉が。「二度と戻れない」と書いてある扉、以前にはなかった扉があった。
という一節があります。

若いころには気が付かなかった「そんな扉」が、自分にもいくつもあることが最近わかるようになりました。

参考資料

酒とバラの日々 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/fisp

寺井珠重の対訳ノート(50)酒とバラの日々:再考 – INTERLUDE by 寺井珠重
https://blooming-days.njs.xyz/gkfj

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。6/14分については、放送終了後に更新いたします。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

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