Blooming Days,February’01 |倉嶋桃子|85.4MHz FMひがしくるめ

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days,February’01

  • PODCAST

    ※アプリをインストールしてお聞きください。Spotify Freeはずっと無料のプランです。 期間限定でもなければ、登録にクレジットカードも必要ありません。 放送後記
  • facebook

  • Twitter

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

立春を迎えるこの時期、地元の和菓子屋さんでは春を思わせる題材の和菓子が並び始めます。

「梅」や「水仙」、「椿餅」「桜餅」など、見た目にも癒されるものばかりで、ついついいつも多めに購入してしまいます。

この和菓子、全国和菓子協会の資料によると、和菓子には季節感を味わうには二つの形式があるようです。
一つは、決まった季節だけに作られる和菓子、もう一つは季節を表現する和菓子。

決まった季節だけに作られる和菓子とは、年末から1月初旬にかけて見かける「花びら餅」や春の時期に見かける「草餅」「うぐいす餅」「桜餅」、5月の節句に合わせた「柏餅」など。
その季節が来る前に店頭に並び、その季節が終わると並ばなくなるようなものです。
もう一つの季節を表現する和菓子とは、短歌や俳句、地域の歴史や名所に由来して作られた和菓子で、形や色合いから季節を感じてもらう和菓子とのことだそうです。

様々な技術の発達で、季節を問わずいつでも美味しく果物やお菓子など食べられるようになった今日では、季節感を感じながら、日々丁寧に暮らすという時間は貴重なものだと感じます。

どこか気忙しく、心の余裕がなくなっているなぁとか、ストレスが溜まっていて気持ちが穏やかになれないなぁと感じている方は、ぜひ五感をフルに使いながら和菓子を食べ、お茶を飲み、ゆったりとした時間をつくってみてはいかがでしょうか?

参考資料

全国和菓子協会
https://www.wagashi.or.jp/monogatari/ajiwai/kisetsu/

それでは、本日の放送内容です。

「Interest」in bloom~前半~

明日2月2日は節分です。
節分とは立春・立夏・立秋・立冬の前日を意味し、その中でも立春の前日としての節分に行われる最も一般的といえる鬼払いの風習は、中国の風習を由来とする平安時代の追儺(ついな)、鬼遣(おにやらい)と呼ばれた宮中行事を元としているとされています。
中国から伝わったこれらは、当初、年越しの儀式でした。

やがて季節の分かれ目である節分の中でも、立春の前日に行われるようになりましたが、この時期はまだまだ寒く、ちょっとした風邪から大病につながったり、深刻な病をもたらすこともあります。
そんな病魔を、人々は鬼、あるいは疫鬼(えきき)として恐れ、邪気を追い払うためとして、古くから豆撒きの行事が執り行われていたようです。

そもそも、この鬼、節分の時にだけ出てくるわけではなく、「桃太郎」や「一寸法師」など昔話にもよく登場します。
大概は、村の人たちを困らせたり宝物を奪ったりする悪い存在として登場しますが、「泣いた赤鬼」など、中には心優しい鬼もいるようです。

果たして鬼は本当に悪い存在だったのでしょうか。

今日の「Interest」in bloomでは、「昔話に出てくる鬼は本当に悪いやつだったのか?」をテーマにお送りいたします。


「鬼」とは

鬼とは、一般に、日本の妖怪と考えられている伝説上の存在のこと。
鬼は「この世のものではない、見えない存在」という意味の「穏(おん・おぬ)」が語源といわれ、超人的な災いをもたらすものとされています。
頭に角が生え、細かくちぢれた頭髪で、耳までさけた口から牙が生えた、虎の皮の褌や腰布をつけている金棒を持った大男の姿をしているのが一般的です。
色は赤・青・黒などさまざまで、その色によって「赤鬼」「青鬼」などと呼ばれますが、日本でイメージされる鬼の姿は、日本古来のものではなく、仏教が元になっています。

鬼の色には仏教の「五蓋(ごがい)」という、修行を邪魔する5つの煩悩を表す色があてはめられ、青は、悪意、憎しみ、怒りなどを意味する「瞋恚(しんに)」、赤は、強い欲望を意味する「貪欲(とんよく)」、黄色は、心の動揺、後悔、甘えを表す「掉挙・悪作(じょうこ・おさ)」、緑は、倦怠、眠気、不健康を意味する「惛沈睡眠(こんちんすいみん)」、そして黒には、疑心暗鬼の
「疑(ぎ)」が当てはめられ、それぞれ人間の煩悩の種類を表しています。
お寺で行われる節分会などでは、これら五色の鬼がいますが、特に打ち勝ちたい煩悩の色の鬼に豆を投げると良いとされています。

鬼は、人に危害を加え、さらに人を食べてしまう存在と考えられることもあり、地獄では閻魔大王の元で亡者を責める獄卒(ごくそつ)としてのイメージが現在もよく知られています。
獄卒とは、生前に悪事を働いて地獄に落ちた亡者たちを拷問し、苦しみを与え罪の償いをさせる鬼のこと。

六道絵(ろくどうえ)と呼ばれる地獄が描かれた仏画を目にしたことがある方も多いかと思います。

現在では、「悪い物」「恐ろしい物」の代名詞として使われることの多い「鬼」という言葉ですが、例えば、鳥取県伯耆町(ほうきちょう)では、村を守った「強い物」として鬼を崇めていたり、青森県の岩木山では鬼の善行に感謝して、神社の「神」として鬼を祀っているなど、日本の各地には鬼を善的に捉え、また、畏敬の念で見ている例が少なくありません。

節分の豆まきに見られるように、鬼が厄災をもたらすとする信仰も根強いですが、まったく逆に、鬼が悪霊を追い払い、人に幸福をもたらしてくれる存在と考えている例も少なからず見られます。

昔話にもよく登場する鬼ですが、まんが日本昔ばなし1474話の中で、鬼が出てくるお話が75話。

この中で、人間に危害を加えない鬼のお話は35話、人間に危害を加えないどころか親切にしてくれる良い鬼が登場するお話もあります。
また、鬼が出てくるお話の中には、鬼との約束を守らない人間が、鬼に嫌がらせをするなど、明らかに人間が悪いという話もあります。

例えば、桃太郎のお話。
桃の実から生まれた男の子「桃太郎」が、お爺さんお婆さんから黍団子(きびだんご)をもらい、イヌ、サル、キジを従え、鬼ヶ島まで鬼を退治しに行くお話ですが、どの書籍でも桃太郎側の視点での勧善懲悪物語となっています。
しかし、なぜ桃太郎は唐突に「鬼ヶ島に行く」と言い出したのでしょうか。

影山 徹(かげやま とおる)著「空からのぞいた桃太郎」には、福澤諭吉、芥川龍之介、池澤夏樹、高畑勲の4人が、「鬼は何も悪いことをしていなかった」と指摘していることが書かれています。

「童蒙おしえ草(どうもうおしえぐさ) ひびのおしえ」には、福沢諭吉の言葉として
「桃太郎が鬼ヶ島に行ったのは、鬼の宝を取りに行くためだったということです。けしからぬことではないですか。宝の持ち主は鬼です。鬼の物である宝を意味もなく取りに行くとは、桃太郎は盗人ともいえる悪者です。・・・ただ欲のためにしたことで、ひれつ千万なことです。」
と記しています。

また、芥川龍之介も自身の「桃太郎」で、
「桃太郎は鬼ヶ島の征伐を思い立った。思い立ったわけは、おじいさんおばあさんのように山だの川だの畑などへ仕事に出るのがいやだったせいである。桃太郎は罪のない鬼に建国以来の恐ろしさを与えた。鬼は、「あなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点が参りません」と質問した。」
と書いています。

他にも、高畑勲は、「桃太郎は侵略的な物語」と評し、小説家池澤夏樹は「一方的な征伐の話だ。鬼は最初から鬼と規定されているのであって、桃太郎一族に害をなしたわけではない。この話には侵略戦争の思想以外のものは何もない。」と自身の著書で書いています。

桃太郎は、村の人を困らせたり、宝物を奪う悪い鬼を成敗するために鬼ヶ島に行ったと思っていた千葉県袖ケ浦市立奈良輪(ならわ)小学校当時5年生の倉持よつばさん。

これをきっかけに桃太郎盗人説の真偽を確かめるべく、全国にある桃太郎の書かれた本を読み比べて、桃太郎の話が時代によって異なることを見つけました。
どのように物語が変化していったのか、江戸時代の文献にまでさかのぼり、各時代の桃太郎像を比較しています。

このお話の続きは後半で。

「Interest」in bloom~後半~

前半では、鬼とはそもそも何なのか、悪い物、恐ろしい物の代名詞として使われることの多い「鬼」が、鬼の出てくる日本の昔話では、その半数以上が人間に危害を加えなかったり、親切にしてくれる存在だったというお話をしました。

果たして鬼は本当に悪い存在だったのか。
鬼の成敗に行く桃太郎のお話に、福沢諭吉をはじめとする過去の人が、「桃太郎は盗人だ」「鬼は悪くない」と評していることを知った千葉県袖ケ浦市立奈良輪(ならわ)小学校の当時5年生だった倉持よつばさん。

桃太郎盗人説の真偽を確かめるべく、全国にある桃太郎の書かれた本を読み比べて、桃太郎の話が時代によって異なることを見つけ、どのように物語が変化していったのか、江戸時代の文献にまでさかのぼり、各時代の桃太郎像を比較しています。


「桃太郎」のお話出てくる鬼について

倉持さんはまず、桃太郎の話はおかしいと書かれている本を読み、そこに共通する項目が、桃太郎が急に鬼征伐に行くと言い出す点、鬼は悪いことをしてないという点、桃太郎は鬼の宝を盗み侵略したという点に気付きました。
そして、鬼が何も悪いことをしていないにも関わらず、なぜ桃太郎は鬼ヶ島に行ったのか、「鬼退治の理由」「鬼ヶ島に行くと言い出したきっかけ」「鬼が悪さをしているか?」の3つの視点で74冊の桃太郎の本を読み比べました。

その結果、74冊中、70冊が「悪い鬼を退治するため」、1冊が「鬼をみたくなって」、2冊は「特に理由はない」、1冊は「鬼は何も悪くなかった」と書かれていることに気づきます。
74冊のうちその大多数が、「桃太郎は人々を守るために鬼ヶ島へ行った」と書かれていますが、どうして福澤諭吉は桃太郎を「盗人」と表現したのか。
そこで、福澤諭吉が書いたころよりも古い江戸時代の「桃太郎」を読み比べんだところ、以下のことがわかったそうです。

・江戸時代の桃太郎は、おじいさんとおばあさんが川から流れてきた桃を食べて若返り、おばあさんが妊娠して桃太郎を産んだ
・明治以降の桃太郎は、川から流れてきた桃から生まれた。
・明治29年出版の巌谷小波(いわや さざなみ)の桃太郎より前は、桃太郎が宝欲しさに鬼ヶ島へ行き、鬼は悪さをしていない。
・その後、「悪い鬼を退治する」という理由が付け加えられた。
・江戸~明治時代のはじめの桃太郎は、鬼から宝を奪い取っている。
・明治の終わりごろから、鬼が自ら宝を差し出すようになっている。

調べてみると、1887年(明治20年)に国定教科書に採用される際にほぼ現在のあらすじの桃太郎物語が掲載されていたようです。
そして、1910年頃に童話作家の巖谷小波が文部省嘱託となっていて、桃太郎の事実上の執筆者だと考えられています。

桃太郎の姿が、日の丸の鉢巻に陣羽織(じんばおり)、幟(のぼり)を立てた姿になり、犬や鳥、猿が「家来」になったのはこの明治時代からで、それまでは戦装束などしておらず、動物達も道連れであって、上下関係などはなかったようです。
明治の国家体制に伴い、周辺国を従えた勇ましい大日本帝国の象徴にされたと考えられており、太平洋戦争の終焉まで、桃太郎は多くの国語の教科書をはじめ、唱歌や図画の教材などに日本国内で広く利用されました。

鬼は悪者だから退治されて当たり前、征伐の理由を説明せずとも鬼であるから当然退治されるのだという話は、富国強兵の時代、小さな子が鬼退治に行くというストーリーと相まって、教科書に掲載されることとなったと思われます。
他の研究者も、第二次世界大戦時のアニメが、侵略行為の動機や理由を明確化することを避けており、まさにこの「動機無き鬼退治」と同じモチーフとなる。と書いています。

1911年(明治44年)に登場した文部省唱歌の1つ「桃太郎」。
桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけた黍団子、一つわたしに下さいな。という歌は誰もが知っていると思いますが、この歌の4番以降の歌詞は、現在では歌詞が改変されたり、後半部を削除したりする場合が多いようです。

そりや進め、そりや進め、一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまへ、鬼が島。

おもしろい、おもしろい、のこらず鬼を攻めふせて、分捕物をえんやらや。

その時代その時代に合うようにだんだんお話が変わってきた桃太郎。
昔話に登場した悪い鬼たちのお話も、歴史を紐解いてみると戦争や社会情勢で改変されているものも多いのかもしれません。

明日の郡山コミュニティ放送ココラジでは、心優しい鬼のお話「泣いた赤鬼」についてお送りいたします。

参考資料

鬼 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AC%BC

鬼とは?起源や種類を洗いざらい紹介!5色鬼のそれぞれの意味は?|オマツリジャパン|毎日、祭日
https://omatsurijapan.com/blog/onitype/

鬼 <福娘童話集 きょうの日本昔話用語集>
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/terakoya/32.htm

桃太郎は盗人なのか? −「桃太郎」から考える鬼の正体−
https://concours.toshokan.or.jp/wp-content/uploads/contest-summary/220003.html

PDF – www.jcss.gr.jp
https://www.jcss.gr.jp/meetings/jcss2010/pdf/JCSS2010_P2-26.pdf

心がざわつく「桃太郎」。慣れ親しんだ童話の価値観を覆す衝撃絵本、9月発売! | ほんのひきだし
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/31048/

桃太郎 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%83%E5%A4%AA%E9%83%8E

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。2/1分については、放送終了後に更新いたします。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。

Super Music Wide