Blooming Days, November’30|倉嶋桃子|85.4MHz FMひがしくるめ

Blooming Days - 日々是好日 -

Blooming Days, November’30

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みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

いよいよ11月も終わり、まさに初冬の季節へと移り変わる時期になりました。

この時期11月27日から12月1日頃のことを、「朔風払葉」(きたかぜこのはをはらう)と言うそうです。

これは、北風が勢いよく吹き、木の葉を吹き飛ばす頃という意味で、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした七十二候(しちじゅうにこう)の言葉です。

ちょうど関東地方でも北風が強まった日と重なっていて、近所の公園の木々も風で葉っぱが飛ばされ、寒々しい景色へ変わったなぁと感じていた頃だったので、うまく季節を表す言葉だと改めて感じました。

この北風が強かった日を境に、私もようやくダウンジャケットを着るようになりました。

いつも上着の素材を変えるタイミングををいつにするか迷うので、来年からは、この「朔風払葉」(きたかぜこのはをはらう)時期を基準にしようと思っています。

季節が進み、寒さも一層厳しくなり、ついつい体を丸めて足早に歩いてしまいがちですが、防寒対策をしつつ冬ならではの木々の景色を眺めてみるのもいいかもしれません。

2020年もラストスパート。忙しい時期にはなりますが、体調管理に十分気をつけて過ごしていきましょう。

それでは、本日の放送内容です。

「Interest」in bloom~前半~

今から100年前の1920年、アメリカ・ピッツバーグの放送局KDKAが商業放送として始めてラジオの放送を開始しました。

当時、録音技術は既に誕生していたものの、録音された音を放送に乗せて、聴取者(ちょうしゅしゃ)に届けるまでの技術には至っておらず、生放送のみの放送でした。

その20年後、トーキー映画が登場し、さらに戦後になると、テレビやレコード盤が爆発的に普及したことによって「いづれラジオは滅びるだろう」と言われていました。

そして現在、当時の人々の予想に反して、ラジオは、まだ現役のメディアとして残っています。

インターネットの普及により、好きな時間に好きな番組を、専用の受信機がなくてもパソコンやスマートフォンでラジオが聴ける世の中になっています。

今日のInterest in bloomでは、昔の人が思い描いていた未来とは、どういうものだったのか、今の私たちが暮らす時代が、どんな世の中になると予測していたのか、過去と現在についての検証をしてみようと思います。


二十世紀の豫言(預言)

ご紹介するのは、1901年(明治34年)1月2日および3日付けの報知新聞に掲載された「二十世紀の豫言(預言)」という未来予想の記事。

預言は、科学や医療、気候変化や日常生活など様々な分野をまたいで23項目が取り上げられています。

このうち、ほぼ的中していたと言えるものは10項目。

その中でも興味深いものをいくつかご紹介致します。

一つ目は、無線による電話。

記事の中では、「無線はいっそう進歩して、無線電話で東京からロンドンやニューヨークの友人と、自由に話せるようになる。」と預言されています。

これは、携帯電話という形で実現しています。

他にも「電話口には対話者の肖像現出(しょうぞうげんしゅつ)するの装置あるべし」と書かれている記事もありますが、こちらもテレビ電話という形で実現しています。

今ではスマートフォンにもこの機能が追加されていますので、便利な世の中になりました。

二つ目が、遠距離の写真。

記事の中では、「数十年後にヨーロッパで戦争が起こったときには、東京の新聞記者は編集局にいながらにして、カラー写真を電送できるようになる」と書かれています。

現在のファクシミリやメールなどが、これに該当するでしょう。

昔の方はご苦労されていたんでしょうね。

世の中のニュースが、いち早く新聞で読める時代になりました。

三つ目が、七日間 世界一周。

記事には、「19世紀末(まつ)に80日間かかった世界一周は、20世紀末(まつ)には7日間あれば可能となり、文明国の国民は男女を問わず、1回は海外旅行をするようになる」と預言されています。

現在は、飛行機などの交通機関の発達により、成田を出てロンドンに行き、そしてニューヨークを経由して戻ってきても1週間はかかりません。

費用もエコノミークラスであれば30万円程度。

誰でも気軽に世界一周できる時代になりました。

四つ目が、買物便法(かいものべんほう)。

記事には、「写真電話により、遠距離にある品物を購入でき、その商品は 地下に張り巡らされた鉄管によって瞬時に届くようになる」とあります。

これは、インターネット通販がこれに該当すると思いますが、現在のところ、商品は地下に張り巡らされた鉄管ではなく、宅配便で届きます。

昔の人は、水道と同じような仕組みが出来るのだろうと考えたのかもしれません。

五つ目が、鉄道の速力。

記事を要約すると「鉄道は、進化により小家屋大の大きさで、あらゆる便利を備えて、冬期には暖かく、夏期には涼しい。速度は普通で1分に2哩(マイル)、急行であれば1時間150マイル以上で、東京~神戸間は2時間半、ニューヨーク・サンフランシスコ間は一昼夜で到着し、動力は石炭を使用しないので、給水のための停車も必要なくなる」と書かれています。

現在の鉄道は、石炭も使用せず電気で動き、エアコンを完備、東京~神戸間は「のぞみ」で2時間40分程度です。

当時の速度は時速30キロ程度で、新橋~神戸間を約20時間かけていたそうですから、さぞ大変なことだったでしょう。

ちなみに、現在JR東海が計画している超電導リニアによる中央新幹線の最短コースだと、東京・大阪間の所要時間は67分になる予定だそうです。

2037年完成予定ということですから、近いうちにたった1時間で大阪まで行けるようになるんですね。

その他にも「新機械の発明により熱さ、寒さを調節できるようになり、アフリカもこれにより進歩するであろう。」「馬車はなくなり代わって自動車は安く買えるようになる。その結果、馬は、奇特な人間がわずかに飼育するだけのものになる。」など、現在では当たり前になっている事が預言されています。

一方、「ライオンや虎、ワニなど野獣が滅亡する」「サハラ砂漠の灌漑」「地震はあっても家屋や道路建築はその害を免れる」「獣語(けものご)の研究進歩して小学校に獣語科あり」など実現していないものもあります。

的中して実現されたものをみてみると、その多くはまったくの無から有へと変化を遂げたものではなく、当時の人々の努力と地続きにある、着実な科学技術の進歩が土台にあったといえます。

今日の情報社会も、半導体の生産技術や処理能力の向上があり、「豊かな社会」の裏には、コツコツと長い期間をかけた、発明の積み重ねがあったといえるのではないでしょうか。

後半は、SF小説、映画や漫画から見る「未来予測」についてお話し続けます。

参考資料

引き継がれる佐吉の志 ~私たちの暮らし、トヨタグループと~
https://www.tcmit.org/360virtual/list-1/

「Interest」in bloom~後半~

これまでマンガや小説、アニメ、映画といった分野のフィクション作品の中では、豊かな空想のもとに様々な形でICT社会の未来像が描かれてきました。

ここからは、1960年代以降に発表されたマンガ、アニメ、映画、小説等のフィクション作品を取り上げ、主にSFと呼ばれる分野にあたるこれらの作品の中でどのように未来社会が描かれたか、現在の視点から見た実現状況はどうなのか検証してみたいと思います。


スーパージェッター

まずはじめにご紹介するのが、今から55年前1965年に放送を開始した「スーパージェッター」。

この作品は、筒井康隆、眉村卓といった当時の若手SF作家が脚本を執筆し、それらのエピソードには“未来予言機”、 “マイクロ光線”、 “四次元マシン”、“人工太陽”や自然エネルギーを吸収して動く巨大ロボット等さまざまな空想上の機器が登場しています。

しかし、作品の中で最も印象強く描かれるのは、ジェッターが使う30世紀のタイムパトロール隊員の装備でした。

最高速度マッハ15(時速16,200km)で飛行できるエアカー型のタイムマシン“流星号”や、周囲の時間を30秒だけ止めることや、流星号の呼び出し機能、トランシーバー機能を持つ腕に付けているタイムストッパー。

さらに、透視能力のある赤外線透視ゴーグル、重力を中和することで飛行を可能にする反重力ベルトや相手を一時的に痺れさせる銃パラライザーなど。

「スーパージェッター」で描かれた技術の多くは、1000年先の未来のお話としたことで、現実に足がかりのないものがほとんどです。

そのせいか、タイムストッパーや反重力ベルトは実用化されていませんし、流星号のようなタイムマシンも開発されていません。

しかし、コンピューターの小型化、高速化、高性能化により、かつては空想の世界にあった腕時計、ベルト、メガネといった形態のウェアラブルデバイスは、現実のものとなりました。

Apple Watchのようなスタンダードな腕時計型から、眼鏡型、帽子型、指輪型、ヘッドホン型などさまざまな形状をしているウェアラブル端末。

近年のコンピュータの小型化・軽量化によって、身に着けていてもほとんど違和感がなく、手動で操作する必要もなくなりつつあります。

味ラジオ

次にご紹介するのが、小説から。

SFを中心に生涯1000編を超える作品を執筆し、現在も国内外で人気の「ショートショートの神様」と言われる星新一(ほし しんいち)。

そんな彼の作品に、1967年「妄想銀行」という短編集の中に収録して発表した「味ラジオ」というものがあります。

この作品では、ラジオから“味”が放送されており、歯の内部に収まった受信機で、その味を受信、無味のガムやパンを口にすることで、ラジオから放送されているさまざまな味が口の中に広がるという世界が描かれていました。

それを変えるのが“テレイグジスタンス”という概念です。

テレイグジスタンスとは、遠隔地にある人は物があたかも近くにあるかのように感じながら、操作などをリアルタイムに行う環境を構築する技術およびその体系のこと。

現在開発されている遠隔操作ロボットシステムでは、ヘルメット型、ベスト型、手袋型の各装置を身に着けた操縦者の身体の動きをそっくりそのまま模倣し、その動作によって得られた情報を感覚としてセンサーで操縦者に伝えることができます。

操縦者はロボットが物体に触れた際の“すべすべしている”、“ざらついている”、“熱い”、“冷たい”といった感覚を自分が触っているかのように感じることができ、あたかも操縦者がロボットと一体化したような感覚を得ることも可能です。

こうした技術は、遠隔コミュニケーションの他、医療や介護、極限環境下での遠隔作業など様々な分野への展開が期待されていて、さらに開発が進めば、世界の色々な場所にあるロボットとつながって、 時間や距離の制約を超えた感覚を味わうことも可能になると考えられています。

2001年宇宙の旅

最後は、小説家アーサー・C・クラークと、作品を監督したスタンリー・キューブリックの共作によるストーリーを映画化し、1968年に公開された「2001年宇宙の旅」。

この映画は、木星探査船ディスカバリー号に搭載され、船内のすべての制御を行っていた人工知能を備えたコンピューターHAL9000の反乱を描いた象徴的な映画です。

ざっくりとご紹介すると、ある日その機能に変調をきたしたHALの故障を乗員たちが疑い、思考部の停止を話し合うが、そのことをHALに知られてしまい、その後、機器の故障や事故が発生し、次々に乗員が命を失っていくという内容でした。

HAL9000の変調について、映画ではその原因が明らかにはされませんでしたが、アーサー・C・クラークの小説版 では、その原因をHALが抱えた矛盾のせいだとしていました。

探査ミッション遂行のため、HAL9000は乗員 と話し合い協力するよう命令されていた一方で、密かに与えられた任務について、ディスカバリー 号の乗員に話さず隠せ、という命令も受けていた事で、HAL9000は、これら二つの指示の矛盾に耐えきれず異常をきたし、狂気に陥ったということになっていました。

人工知能という概念は1950年代からあり、その研究は様々なアプローチで続けられています。

その成果として、たとえば、1997年、IBMが開発したスーパー・コンピューターがチェスチャンピオンに勝利したこと、2011年アメリカのクイズ番組で人間と対戦して勝利したこと、また、2014年に日本で行われた第3回将棋電王戦では、4勝1敗でコンピューター 側が勝利を収めるなど、日に日にその精度は上がっているようです。

未来学者のレイ・カーツワイルは、著書「シンギュラリティは近い-人類が生命を超越するとき」の中で、2029年に人工知能が人間の 知能を上回り、2045年には“シンギュラリティ(技術的特異点)”が起こるとし、社会に波紋を投げかけました。

人工知能の能力が今後、加速度的に高まっていくとして、シンギュラリティを迎えた時、HAL9000が 起こしたようなコンピューターの反乱は起こりうるのだろうか非常に興味深いです。

まとめ

ここまで紹介してきたように、ICTをはじめとする技術の進歩発展により、多くの想像の産物が現実に近づき、あるいは形を変えて現実のものになろうとしています。

SFをはじめとするフィクション作品と現実の技術の発展とは決して無縁ではないようです。

フィクション作品は、現実の技術が進歩発展していくための重要なエンジンのひとつのように思います。

参考資料

平成27年版情報通信白書
フィクションで描かれたICT社会の未来像
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/pdf/27fiction_all.pdf

メッセージをお寄せいただいた皆さん、ラジオをお聴き頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。11/30分については、放送終了後に更新いたします。

また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

なお、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。

それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。

お相手は、倉嶋桃子でした。