2020年7月13日(月)
みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。
7月は、雨の多い日ではじまっていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
真夏日が時々あった日などは、湿度も高く不快な時間も多くなりますね。
先日、用事があってマスクをして出かけたのですが、人が多い場所を歩いていたところ、口元がとても暑く、息もしにくい状態で、水分をとるのもマスクを外すというひと手間かかるので、なかなか大変に感じました。
ニュースでは、気になる話題も流れていますが、日常の暮らしの中で、行動を気にすることも習慣化してきたのと同時に、自分で意識して対策をとることも大事だなぁと感じたところです。
また、もう少し、雨に時期が続くかと思いますが、気象情報をこまめに確認しながら、過ごしていきましょう。
それでは、本日の放送内容です。
夏の美味しい食べ物といえば、必ず名前があがる「枝豆」。
ここ数年の間に、海外でもローマ字表記の「EDAMAME」が人気という話題も、頻繁に聞えてきます。
母の実家が農家ということもあり、採れたての枝豆の美味しさが格別なことを知っているからでしょうか、今でも枝についた新鮮な枝豆を見ると、ついつい購入してしまいます。
スーパーやコンビニなどでは、冷凍のものもたくさんの種類があり、便利な食材になっているとわかってはいるものの、最初に食べた冷食の枝豆の印象が悪く「生のものよりも味が落ちるのではないか」とこれまでほとんど利用したことがありませんでした。
先日、スタッフから「今の冷凍食品の枝豆は十分美味しいし、調理方法によっては生よりも美味しくなるよ」という話を聞きまして、「えー?冷食が生よりも美味しい?もしかして食わず嫌いだった?」と反省して、冷凍食品の枝豆をより美味しく食べる方法を調べてみました。
そんなわけで、今回の「Food」in bloom は、「これであなたも枝豆名人」というお話、お届けいたします。
枝豆は、大豆が未熟な緑色の状態のときに収穫したもののことを言い、完熟すると「大豆」になる、豆と野菜の両方の栄養的利点を持った、緑黄色野菜です。
枝豆として栽培されているものは、大きく分けて3種類あり、種皮やサヤのうぶ毛の色の違いから「白毛豆(しろけまめ)」「茶豆(ちゃまめ)」「黒豆(くろまめ)」に区別され、現在では、枝豆専用の品種が400種類以上あると言われています。
また全国各地には、在来品種(地場品種/じばひんしゅ)と呼ばれる、特定の地域で昔から栽培されてきた枝豆があり、それは地域の農家によって代々受け継がれてきた品種であり、その地域でしか味わえない希少価値のある枝豆です。
皆さんが、よく聞くブランド枝豆の中に「だだちゃ豆」という枝豆がありますが、この品種は、山形県庄内地方の中でも、鶴岡市周辺の限られた地域で、地元農家の手によって、古くから大切に守り育てられてきた在来種のことをいいます。
このだだちゃ豆は、栽培する土地が合わないと風味が落ちてしまうため、生産地が限られ、収穫期も短く、また保存も困難だったため、長らく「幻の豆」と呼ばれてきましたが、近年の輸送手段の向上等により全国的に知られるようになりました。
これからの時期、まさに旬を迎える枝豆ですが、最近は冷凍技術も向上し、いつでも美味しい枝豆が冷凍食品でも食べられるようになりました。
でも、どの解凍方法がいいのか、みなさんご存知ですか?
解凍の基本は、「自然解凍」「流水解凍」「電子レンジ解凍」「茹で解凍」の4つがあります。
それぞれの解凍方法を簡単にご紹介すると、「自然解凍」は、1~2時間ほど常温で放置します。旨味も硬さもベストの状態で食べられる方法と言われていますが、すぐに食べたい時には選べない方法です。
次に、「流水解凍」ですが、流しっぱなしの水を、4~5分ほどあてる解凍方法です。
ボールに水を張って解凍する方法もありますが、凍った枝豆が水を冷たくするので、解凍時間が遅くなりますし、直接枝豆に水をあてると、旨味や塩分まで水と一緒にながれてしまうので、袋に入れたまま流水をあてる方がいいようです。
次は、「電子レンジ解凍」です。
こちらは、なるべく枝豆同士が重ならないように平らにお皿に盛り、電子レンジにかけますが、商品それぞれに解凍目安時間があるので、その時間を見て試した方がいいでしょう。ただし、電子レンジ解凍は、熱い部分と冷たい部分ができてしまい、出来上がりにばらつきがあるので、あまり上手に解凍できるとは言えないようです。
続いては、「茹で解凍」です。
この方法は、一番多くの人がやっている方法かと思いますが、専門家の人の話によると、枝豆のビタミンCが5割ほど流れ出してしまうので、おススメしないそうです。
また、市販の冷凍の枝豆は一度茹でられているので、もう一度茹で硬さをちょうどよくもっていくのは、かなり難しいですし、仮に短時間であっても、美味しく解凍できるかというと疑問だというお話でした。
私が最初に食べた、冷凍枝豆の悪い印象の部分は、水っぽく柔らかすぎて、枝豆の味がしない感じだったので、明らかに解凍方法を間違ったものを食べてしまったということなんだということが、これでわかりました。
ここで、一曲お送りした後、枝豆の美味しい食べ方のお話続けてまいります。
前半は、枝豆の特徴と基本の冷凍枝豆の解凍方法についてお話いたしましたが、後半は、枝豆の美味しい食べ方のお話続けてまいります。
基本の冷凍枝豆の解凍方法にも、時間がかかる、出来上がりにばらつきがある、旨味が抜けるなどそれぞれ欠点があるということがわかりました。
ではどのようにすれば、早く美味しく食べられるのでしょうか。
どうやら「焼く」方法と「お湯をかける」方法がいいようです。
冷凍の枝豆を「焼いて」解凍する場合、冷凍の枝豆の周りについた霜を蒸発させるように焼いていきます。
これだと、水溶性のビタミンなどが溶け出す心配もありません。
焼き時間の目安は、弱火で3分ほど。枝豆のさやが、水分の蒸発によって乾いてきたら、最後に強火で枝豆をしっかり温めます。最後に塩を絡めて完成です。
また、同じ要領で蒸し焼きの方法もおススメです。こちらは、ただ焼くものよりは、みずみずしさを味わえます。
ちなみに、この焼くという方法は、冷凍されていないフレッシュな状態の枝豆の調理法としてもおススメで、茹でる方法よりも栄養が逃げずに濃厚な味わいが楽しめるということです。
簡単に作り方をご紹介すると、
1.洗った枝豆に塩を振り、揉み込む(毛が取れて口当たりが良くなる)
2.冷蔵庫で3時間寝かせる(さやの中まで塩味がしみこむ)
3.さやの両端をカットする(豆の水分が出て風味豊かに)
4.フライパンに水を少量入れ、ふたをして8~10分ほど蒸し焼きにする
5.ふたを開け塩をひとつまみ振り、3分ほど焦げ目がつくまで焼く(焦げ目がついたほうが枝豆の風味がアップ)
ここまでが、フレッシュな枝豆を蒸し焼きにして食べる方法です。
続いて、冷凍の枝豆を「お湯をかけて」解凍する場合です。
これは、冷凍の枝豆をざるにあけ、その上からお湯を回しかけるという方法で、この方法だと一番素早く簡単に解凍でき、硬さも程よく美味しいです。
ちなみに、この解凍の仕方は、スタッフの知り合いの居酒屋さんの店主が教えてくれた方法だそうです。
さて、この枝豆の美味しい食べ方、さやから豆を出してそのまま食べるのが一般的ですが、だだちゃ豆のときにご紹介した山形県では、沸騰したお湯に枝豆をさやごと入れて煮込んで、味噌で味をととのえたお味噌汁というのが郷土料理にあります。
美味しく作るコツは、枝豆が茶色くなるまで煮込むこと。枝豆のうまみが味噌のコクとあいまって、美味しいとのこと。
実は、オフィスでも早速お昼に作って食べてみましたが(正確には作ってもらったのですが)、確かに豆の風味が美味しい味噌汁ができました。
さやえんどうのお味噌汁のようにお豆の甘みとお味噌の味がよく合います。
人によっては「海老の味がする」という方もいるようです。
下ゆでの時間が短縮できるので、簡単に美味しく栄養が摂れるパワー味噌汁として、夏の定番になりそうです。
さて、ここまで枝豆の特徴から美味しい食べ方まで見てきました。
枝豆は絶対に採れたてが美味しいと信じて疑わなかった私ですが、今回、冷凍食品の枝豆でも生と遜色なく美味しく食べられるということがわかりました。
気軽に簡単に食べられる冷凍食品の枝豆のおかげで、これまで以上に枝豆を食べる頻度が増えそうです。
そういえば、新潟の長岡市には、100秒でどれだけのえだまめを食べることができるか、食べた豆の莢(さや)の重さを計って競うという、「世界えだまめ早食い選手権」というイベントが2015年から行われているようなのですが、今年は中止とのこと。
来年、気になる方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
先日、SNSを見ていたところ、「サイゼリアが価格改定で、”ミラノ風ドリア”の値段の改定をした」という話題がありました。
「お客様の3人に1人が注文する」と言われている人気のメニューだけあって、多くの方が反応していたようです。
私も何度か食べたことがあるんですが、注文をするときに、「ミラノ風ドリア」の「ミラノ風」という部分、どんな形式のお料理なのか、わかって注文したことがなかったかも…、と気になりました。
そこで、今回の「Word」in bloomでは、「ミラノ風…って、どういう意味?」というお話をお届けいたします。
食事のメニューの中には、「○○風」という表記がよくありますが、特にイタリア料理の中には、都市名や地名を使ったシチリア風、ナポリ風、ローマ風、ジェノバ風、ボローニヤ風など、頻繁に使われているように思います。
今回調べるきっかけになった、サイゼリアの「ミラノ風ドリア」以外にも、この「ミラノ風」とついているメニューには、「ミラノ風リゾット」「ミラノ風カツレツ」などはよく聞く言葉だと思います。
では、ここでいう「ミラノ風」という言葉は、どういう意味で使われているのか皆さんご存じですか?
キーワードは「黄金色(こがねいろ)」です。
これは、ミラノの都市の特徴に関係していて、ミラノという都市は、北イタリア最大の州ロンバルディアの州都で、イタリア経済の中心地であり、「ミラノコレクション」という言葉があるように、ニューヨークやパリと並んで世界のファッションをリードする都市でもあります。
また、中世の時代まで遡って(さかのぼって)みれば、イタリア随一の商業都市として発展し、まさに商人の街だったのです。
そこで、この商人といえば、金貨に象徴される富のシンボル「ゴールド」。
そのゴールドの輝きを、サフランや揚げ衣などを使って表現してるのが、「ミラノ風」ということなんです。
つまり、「ミラノ風」とは、テイストではなく、カラーの「黄金色(こがねいろ)」がポイントだということです。
日本でよくみる「ミラノ風カツレツ」は、衣を「金色」でミラノ風、ミラノ風リゾットは、ご飯の部分をサフランで「金色」にしているのでミラノ風ということになります。
つまり、「ミラノ風」とは、テイストではなく、カラーの「黄金色(こがねいろ)」がポイントだということです。
ちなみに、サイゼリアの「ミラノ風ドリア」は、ミルクやひき肉など、誰しもが小さいころから馴染みのある食材ばかりを使っていて、みんなが好きな味を、できるだけ低価格で提供したいという想いで作られていて、ご飯の部分を金色にし、ミラノ風を表現しているようです。
ということは、金色にすれば「ミラノ風」ということであれば、自分でもその色味を意識したお料理が作れれば、「ミラノ風」と名前をつけても大丈夫ということになりますね。
さて、「ミラノ風」という言葉の意味は、「黄金色」がキーワードであるということがわかったわけですが、「ミラノ風ドリア」というお料理は、ミラノの名物料理ではなく、そもそも「ミラノ風ドリア」事体が存在しないという話は、ご存じでしたでしょうか?
ドリアの発祥地は、なんと日本で、正確にいうと横浜のホテルニューグランドで初代総料理長を務めた、サリー・ワイル氏が考案したものでした。
この方、1927年のホテル開業の際に、パリから招かれたスイス人シェフで、フランス料理はもちろん、イタリア料理やスイス料理にも長けていたのですが、
ある日ホテルに宿泊していた銀行家から「体調が良くないので、何かのど越しの良いものを作ってほしい」という要望を受けたそうです。
そこで、即興で創作して提供したのが、バターライスに海老のクリーム煮を乗せ、グラタンソースとチーズをかけてオーブンで焼いた料理。
このオリジナル料理に、イタリアの貴族「ドリア家」の名前をつけたのが、ドリアの始まりだったそうです。
その、好評だったこの料理はやがて「シュリンプ・ドリア」としてレギュラーメニューになり、さらに弟子たちによって他のホテルやレストランでも提供されるようになったということです。
現在このホテルで提供されているドリアは、エビだけのドリアではなく、エビ以外にホタテ、バナメイエビ、マッシュルームが入ったシーフードドリアだということですが、ドリアのホワイトソースの基本の味は変わっていないそうですので、この名物ドリア、ぜひ一度食べに行ってみたいものです。
それでは、ここで一曲お送りした後、この「ドリア」のように、「日本で生まれた洋食メニュー」についてのお話をご紹介いたします。
前半では、「ミラノ風ドリア」の「ミラノ風」の言葉の意味やドリアというお料理は、日本発祥のお料理だというお話をいたしましたが、後半は、「日本で生まれた洋食メニュー」についてのお話をご紹介いたします。
例えば、みなさんもよく知っている「ナポリタン」。
イタリアのナポリにはないお料理であることも知られているかと思いますが、このナポリタンもドリア同様、ホテルニューグランド発のお料理と言われています。
ただ、トマトソースを使用した「スパゲッティのトマト和えナポーリ風」というフランス料理は以前からあり、高価だったトマトの代わりにケチャップで代用されるようになったのが、現在のスパゲッティ・ナポリタンとなったようです。
今では全国津々浦々、喫茶店や洋食屋さんの定番メニューになっているケチャップ味のナポリタンですが、その元祖は、横浜野毛にある創業昭和21年の老舗洋食屋『センターグリル』と言われています。
ナポリタンの本当の意味での元祖はニューグランドではないけれど、「スパゲッティ・ナポリタン」という単品料理を世間に広めたという意味では、ニューグランドが元祖ということなのでしょう。
今でも、ナポリタンはニューグランドの名物料理として提供されています。
ケチャップ、トマト好きの私としては、トマトソースの元祖ナポリタンも一度食べてみたいです。
続いては、「オムライス」です。
定番のメニュー過ぎて、発祥説も多いのですが、東京銀座の「煉瓦亭(れんがてい)」と大阪心斎橋(しんさいばし)の「北極星」の二つの説が有力なようです。
東京銀座の「煉瓦亭(れんがてい)」のオムライスの方は、当時、厨房が忙しい中でも、手軽に作って食べられる料理として考案されたまかない料理で、溶き卵・白飯・ピーマン・マッシュルームなどを混ぜて焼いたものだったのですが、たまたまその料理を知ったお客様が、食べてみたいとなり、「ライスオムレツ」として提供されるようになりました。
また、大阪心斎橋(しんさいばし)の「北極星」の方は、はじめからケチャップライスを卵で包んだものだったそうですが、もともとは、いつも白いご飯ととオムレツを別々に頼んでいた胃が弱い常連客に「いつも同じものしか食べられないのはかわいそうだから」と店主が気を遣って作ったメニューだったそうです。
ちなみに、映画「タンポポ」で有名になった「たんぽぽオムライス」というメニューが、日本橋にある洋食屋「たいめいけん」で食べることができるのですが、このオムライスは、チキンライスの上に半熟のオムレツを乗せ、食卓で切り目を入れて、ライス全体を包むスタイルです。
これは、伊丹十三監督が発案したと言われていて、今ではこのスタイルも人気となり、他のお店でも食べられるようになりました。
次にご紹介するのは、「ハヤシライス」です。
こちらも、オムライス同様に発祥説が複数ある料理で、有名な説のひとつは英語の「ハッシュドビーフ・ウィズ・ライス(Hashed beef with Rice)」もしくは「ハッシュド・アンド・ライス(Hashed and rice」がなまって「ハヤシライス」になったというものです。
もう一つの説は、丸善創業者・早矢仕有的(はやし ゆうてき)を発祥とするものがあります。
早矢仕(はやし)は元々岩村藩の藩医をしていて、その後起業家になったので、彼を発祥とする説の中にも「入院食として作った説」「丸善の労働者のために夜食として作った説」「友人に振る舞った料理説」など、さまざまなパターンが存在するようです。
このほかにも、日本生まれの洋食メニューに、「とんかつ」や「コロッケ」「エビフライ」などたくさんありますが、いずれも日本人に食べやすく、優しい庶民的な味を…というものや、従業員やお客様へのことを思いやって誕生した、当時のコックさん達の優しさが詰まったメニューのように感じられ、そんな気持ちがお客様に伝わり、今につながっているのではないかと思います。
今回は、サイゼリアの「ミラノ風ドリア」をきっかけに、ミラノ風という言葉の意味を調べてみたわけですが、○○風と名前がつくお料理は、思った以上に決まったレシピがないものが多いようです。
また、ざっくりした具材があれば○○風と名付けていて、それ以外はシェフがどう呼ぶかによるところが大きいのかもしれない…、ということが分かりました。
ということは、メニューの段階で、注文したくなるかどうかの演出が始まっていて、そのための○○風というネーミングにしているということかもしれません。
前回、サラダの話を取り上げた際に、「ライスサラダ倉嶋流」というレシピのご紹介をしましたが、ここは、倉嶋風というネーミングにした方が、そのお料理が魅力的に感じてもらえるかもしれない…?ということでしょうか…。
皆さんも、オリジナルレシピに○○風と名付けて、お料理を作ってみてはいかがでしょうか?
今日もお聴きいただきありがとうございました。
番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。6/22分については、放送終了後に更新いたします。
また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。
それから、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない可能性がございます。ご容赦くださいませ。
それでは、また来週、月曜日15:00にお耳にかかりましょう。
お相手は、倉嶋桃子でした。